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うろうろと視線が泳いで定まらない。
ああ、どうしよう。
A、すっごい怪我したんだ。
俺が、
加減しないでやったから。
いないのは、病院とか?
一人で行ったの?
起こせばいいのに!
そうだ、連絡。
脱ぎ捨てた服の中から、携帯を探し出して開いたけど、Aのカトクも電話番号も知らない。
携帯を持つ手が、震える。
どうしたらいいかわからない。
とりあえず、何か連絡先が書いてあるものがないかと、Aの残した荷物を開けてみたけど、そこにあったパスポートの名前も、顔も良く知ってる人のものだった。
「…えっ、これ、メイクの、ヌナじゃん」
ここ、
メイクのアリンヌナの部屋ってこと?
わけがわからない!
俺は、この部屋にAにつながるものが何一つ置いていないことに気付いて、荷物の持ち主のアリンヌナの部屋なんだってことに、愕然とした。
そうしてどのくらい呆然としていたのか、カーテンからの光が起きたときよりも強く差込んでいて、夜が明けていたのに気付く。
アリンヌナが戻ってきたらどうしよう。
この部屋から逃げてしまいたいのに、この状況を部屋の主がみたら、大事になるのが目に見えているので、足がフリーズしてしまっている。
状況の整理もままならないのに、でも時間はどんどん過ぎていく。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時