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『あっ』

不意に聞こえたかすれた声は、明らかな艶を含んでいて、かっと耳の後ろが熱くなった。



触れている場所から、

さっきの感覚が、

じわじわと、

浸透するような気がした。


『おっ、か、まい、なく…っ』


俺の問いかけへの答えだったんだろうけど、単語の形じゃなくなってた。

ほとんど吐息のような声は、何かをたえるように震えていて。



俺と同じ感覚を、
この人も感じたんじゃないかと。



その時の俺は、ただ確認したかっただけだった。



彼女は酔っていて、ろくに抵抗もできない状態だなんてこと、頭から抜けていた。



ただ、
今感じている感覚が何なのか。



確認したかった。

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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時

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