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行動が制限され、大小とわずイベントごとは中止や無期限延期となり、私たちの仕事にも影響が出始めたと思ったら…
ある日、会社に行くと、社長が泣いていた。
「みんなごめん、もう持たない」
そう言って、床に突っ伏しての号泣だった。
社長は、大きなレーベルの仕事を請け負うために、格安で仕事を受けていた。
それは、先々の仕事があるから保っていたレベルの格安具合だったらしい。
だから、
たった2ヶ月仕事が飛んだだけで、
あっけなく会社は倒産してしまった。
わあ、
こんなことってあるんだな。
私の感想はそんなものだった。
先にこんなに泣かれてしまうと、泣きたい気持ちは消えるもんだと思ってしまう。
延々と泣いている社長に、お世話になったと頭を下げて、私はまっすぐ家に帰った。
それから一週間くらい寝て、寝て、寝て。
人間ってこんなに眠ると体が弱るもんなんだなと思うくらい寝倒して、それから不意に、銀行の通帳残高を確認した。
…結構ある。
一年くらいは遊べるくらいある。
今まで遊ぶ暇もなく働いたんだ、とは言え行動制限が出てどこにも行けないし、やりたかった小物製作での通販でも始めてみようかと、ネットで材料を買い漁ていると、電話が鳴った。
着信相手を見て、目が飛び出るかと思った。
キム・セジン
なんで、この人が。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年12月7日 14時