地上の楽園 -に- 【JK】 (ページ31)

今日:1 hit、昨日:48 hit、合計:166,873 hit

76 ページ31

『でも、合意はしてます。泥酔してはいましたが、無理矢理とかではない、ん、ですけど。これ以上は話せません…私、空港の、待合室にいるので…』

ぶ、と誰かが吹き出す音がして、今度は誰か笑いを堪えているような気がする。

『キムさん、だから後で、仔細はメールしてもいいですか？』

努めて冷静に伝えた。

S「えっ？」

意外な言葉だったのだろう、セジンさんが驚いている。

私は気にせず、畳み掛けるように

『SMSでキムさんのアドレスを送ってください』

そう言った。

『私、相手の方がどんな立場の人なのか、わかっているつもりです』

今が一番大事な時期の人たちだから、今回のことは、もし写真を取っていたら、動画があったら、私に悪意があったかどうかとか、心配事は尽きないと思う。

そんなつもりはないんだって、説明したけど時間がない。

私を疑う気持ちは、極力無くしたいという気持ちで、一杯だった。

『…後々の事を考えると、お互いのために何があったか、ちゃんとはっきりさせておいた方が良いと思います』

S「あ、はい。…それ、僕が読んでも良いんですか？」

言質を取らせるようなことを、被害者が言うもんだからセジンさんがひどく戸惑っているのがわかる。

メンバーを守るためなら、詳細は知りたいくせに、私のプライバシーに配慮するこの人は、きっとものすごく良い人だと思う。

『良いんです』

でも、私は被害者じゃない。

私は当事者だ。

そして、そこにいるあなたも。

これは、私とあなたの二人でやらかした、事故だ。

それも、出会い頭の正面衝突。

そんなのどちらが悪いわけでもないけど、

逃げた方が悪いに決まってる。