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「Aさん、こっち組んでもらって良い?」
『はい、これが終わったらすぐ行きます』
急ピッチで、仕様変更のあったセットを組み立てる大道具スタッフたちの作業音がにぎやかな中、私も負けじと手元の電動ドラバーを唸らせる。
私は美術系の大学を出て、在学中にバイトをしていたイベントのセットや小道具を製作する小さな会社にそのまま就職した。
元々物作りが好きで、それがそのまま仕事になった形だけど、なんのご縁か天下のBTSのライブセット制作の下請けとして関わっている。
下請けとはいい意味での名ばかりで、ワールドツアーにも同行しているし、小さなイベントやペンミーティングのセッティングにも関わっているので、ほぼ社内スタッフのような扱いで仕事をしている毎日。
貫徹常識。
社内での雑魚寝通常。
男女の区別なし。
ものすごくハードな仕事だけど、結果は大きくやりがいがあって、充実した日々を過ごしていると思う。
韓国でのワールドツアーファイナル、3日間のライブも最終日。
長く続いてきたツアーの最終日ともあって、疲労の色も濃いスタッフ達も、気合を入れ直して持ち場の最終点検をしている。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年12月7日 14時