吸血鬼のいる町。vampire`s town.【歌い手】 (ページ5)

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story3:感じる恐怖ページ5

…噛まれている。

首元が妙に傷んだので、鏡を見るとそらるさんと同じようになっていた。

私はもうすぐ死んでしまうことを恐れて包帯を巻いておいた。

不自然に思われないように薔薇のある園へ、書き置きを残していった。

「リビングの上が殺風景に見えたので、花瓶に入れる用の花を摘んできます。
朝ごはんはいりませんので。」

…とはいいつつも。アリバイ作りなど私にはできない。

だから決意した。ここから逃げ出すって。

永遠に帰ってこないみんなが言う楽園。

「さよなら…」

風がなびく。ふと顔を上げると人がいた。

ちょっとどいてください、そう言おうとしたその時。

「ニガサナイヨ☆」

その人は肩に口を近づけて、

「カプッ」

今気づく。こいつは吸血鬼なんだ。

気が遠くなる。

目を覚ますとみんなが私の周りを囲んでいた。

枯葉の上、

ふかふかのお布団に絡まりながら私は倒れていた。

まふまふが半泣きで言う。

「Aちゃん、大丈夫なの？」

私は軽く泣いていることに引いていたが何かまふくんに対しての可愛さを感じた。

「家に入ろう。客が来てるから。」

天月くんが、優しく言う。

さっき、みんなが囲んでいたと言ったがあるふぁさんと96さんがいなかった。

「あの二人なら、朝食を用意しに行ったよ。」

ふーん。

みんなが先に行って首元を見ようとしたとき誰かに手を取られた。

誰…!

「首の包帯、どうしたの?」

うらくん。そこまで聞かないで…

「ちょっとけがを…」

「見せて…」

「ダメッ!!」

…どうして、見ようとするの?

まさか、吸血鬼で噛んでいながら傷口を見ようと…!

「ひどいわね!あんたみたいな人、嫌いだわ!!」

「唐突になにを…」

もう…嫌だ。

今後こそ、逃げ出してやる!

私はうらくんを押しのけて逃げ出していった。

しかし数分後にはまた意識が遠くなり耳鳴りがする。

…眼を覚ますと不思議なところにいた。

赤黒の密室。

ここはどこかと動揺していると、青いパーカーの男が室内に入って来ていた。

彼の口元がチラリと見えた。

間違いない、吸血鬼だ。

というか逃げ出してダメならば救助要請をすればいいんだ。

吸血鬼(こいつ)がいなくなったら連絡しよう。

狩り人、あほの坂田に。