吸血鬼のいる町。vampire`s town.【歌い手】 (ページ13)

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story10:ごめんね。ページ13

寒い…ここは何処なのだろうか。

ぼやける目を頑張ってこすって周りを見渡す。

そのにはいつの日か入った屋敷があった。

それはただの屋敷じゃない。

吸血鬼のいる屋敷。

でも今は妖しい雰囲気がなく。綺麗に白粉(おしろい)を塗っていた。

まわりは雪がちらちらと降り、地面も白かった。

ふと後ろから物音がしたものだから、その方へ向くと

前に見た吸血鬼のようなパーカーを着た人が青白くなった少女を雪の中へと葬っていた。

「何しているの?」

思わず声を上げるとその吸血鬼が振り向く。

ローブがずり落ちていつもの服に戻る。

長くここにいたのか髪の毛にも見えづらいが雪がのっかっている。

白い繊細な髪の毛、赤い綺麗な目。

言わなくともわかる。でもその人の名前を言いたくなかった。

言った瞬間、今の状況に涙しそうだから。

(なんで、なんであなたが吸血鬼なの?)

「まふまふ!!!!!!」

つい叫んでしまった。

「ごめんね。Aちゃん。
本名の情報漏洩も、みんなを噛んだりしたのも僕なんだよ。
すべては君を…守るためだよ。」

何がだよ…何が守るだよ。

みんなを殺してまで…

「何が守るだよ。」

私は怒っていた。

今まで幾多も怒ったことはある。

しかし、今回は何か違った。

悲しみもあった。

いままで、無情に殺された人たち。

「ごめんね。本当にごめんね。
でも、うらたぬきは…君を誘惑したんだよ。」

「違うよ。彼は純粋にでも好きでいてくれたよ?」

彼は意地悪な方法も卑怯な方法も使わずに私に愛を伝えてくれた。

なのに…直後…

「嫉妬してしまうんだ。純粋な君が他のものへと行っていしまうのが。」

「そんなの自分勝手じゃん…!そんなことで人の命を奪うとか。」

ありえない。ありえないよ。

私が彼を非難すると彼は笑った。

「うふふ、やっぱり君は純粋(ピュア)でいいね。好きだよ」

あぁじれったい…もう逃げ出したい。

そう思った私は後ろに振り返って逃げ出そうとした。

しかし、

「うわっ!!」

体が凍結していてうまく体が動かなかった。

「逃げないで…Aちゃん。」

消えたい…ただ吸血鬼に殺されるのだけは本望ではない。

そう思った時…

「えぇい!!吸血鬼!!この俺が…倒してやる!!」