アイロニックセオリー (ページ4)

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都里さんは本当に性格もいいらしい。

店舗までの移動中もずっと話してくれていた。

小「おはようございまーす」

「はよ、つか都里にしては早……」

『…おはよう、ございます』

小「この子、杭瀬Aちゃん。友佳ちゃんのお友達でーす」

「あーなんか言ってたな」

「てか、この前会ったよね？覚えてる？」

…やっぱり覚えられてたか。

『覚えてます。あの時はすみませんでした』

「いやいーのいーの」

「てかあの時ちゃんと挨拶できてなかったでしょ？」

「俺は田中ジュリ。樹って書いてじゅり。田中って呼ばれたくないから下の名前で呼んで？」

『下の名前…はい、わかりました、』

うん、この人が勘違いさせる理由もなんとなくわかる。

でも多分根っからの人たらしなんだろうな。

店「お、なになにもう打ち解けてる感じ？」

小「てんちょー、Aちゃんめちゃめちゃいいこだしかわいいです最高」

店「それなんか友佳ちゃんがダメみたいだったみたいだよ。ね？」

『え、あー……』

「んはっ、困ってるし」

(あ、)

田中さん……樹さんは、全力で笑う人だった。

目尻に皺を寄せて、顔をくしゃっとして。

都里さんは、その顔をみて

なぜか、苦しそうに笑っていた。