マフィアなWESTさん５【JW】

. ページ29

.




色々と思い出したところで、
恥ずかしさと言葉にできない
悔しさでいっぱいになり、
気が付けば無意識に顔を覆っていた。


＿＿悔しい、悔しいけど、
あの時のシゲは確かにかっこよかった。

…それに対して俺よ。

「絶対違うから！」と大人げなく叫んでいた
ほんの少し前の自分がとてつもなく恥ずかしい。



…けど、きっとみんな口では
ああやってからかっていても、
俺を守った具体的なエピソードを
覚えている人は誰一人としていないと思う。

無意識に、本能的に、
自分の身も危険に晒されてしまうどうこう以前に
ピンチになっている仲間を守る。

それは感謝も見返りも求めない、
記憶に残らないほど当たり前の行為。

そういう助け合いで成り立っているのが
実の家族以上の絆である
ファミリーというものなのだろう。


…それでもやっぱり、この中では
戦闘が得意でない俺が一番守られている...というのは
悔しいけれど否定できない。


…姫ポジ、姫ポジ〜〜〜なのか…俺は…？？


認めざるえないのか…？と
半分飲み込みかけていた時。

俺の往生際の悪さが、
ここで遺憾なく発揮された。


黄「…でもまだ、ノンちゃんからは
　 お姫様扱いされてへんし……！」


アキトは具体的な出来事を思い出すまでもなく
俺のことを大事に大事に守ってくれている。

唯一さっき思い出せないのかったのが、
ノンちゃんだった。


悪あがきだって分かってる。

それでもその時の俺は、その微かな逃げ道に
すがらないとプライドを保てそうになかったのだ。


大丈夫、最年少にはまだ守られてないから…！
と無理やり自分を納得させて、
その日は眠りについた。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す