違和感 ページ10
――――――
―――――
――最近、どうにも隊士の様子がおかしい。……新年開けて一週間…平たく言えば1月7日を迎えた今日このごろ、あたしは静かにそんなことを思っていた。
例えば、視線である。
あたしが隊士の違和感を感じるのは決まって土方さんといるときだ。廊下での立ち話やら挨拶やら、休憩所でたまたま行き合ったときやら。
その度なんだか周りから視線を感じて――あたりを見回すと、全員から目を逸らされる。そうしてそのあと彼らはなんだか失望したかのようなため息をこぼすのである。
(……一体何なんだ。)
雪かきをしていた手を止め汗を拭う。少し上がった息はここのところの冷え込みのせいでいつもより白かった。
また仕事をこなす手を再開させつつ、隊士の挙動不審へ思い巡らせる。――変わったこと、あったっけ、と考えて、思い当たることがひとつ。
(…………粛清?)
ほんの幾日か前にあたしが女中をやめようと決意するきっかけとなったその予定が、考えてみればもうすぐそこまで近づいてきているのだ。
もしやそのせいで皆おかしくなっているのか、と考え……しかし自分で否定する。それじゃぁどうしてあたしが土方さんと一緒にいる時だけしかその違和感を感じないのか説明がつかない。
考え事をしながらも雪を除去する手は止めなかった。黙々と行う単純作業はまたあたしを考え事の渦へ突き落とす。
粛清でなければ彼らは一体どうしてあんなにおかしくなっているのだろうか、あたしなにかしたっけ?……と、そこまで考えたあたりで。
「――――あれ、」
――頬に触れた、冷たさ。見上げれば大粒の白が降ってきているようだった。……もう、人が折角雪かきしてたってのに。
天へ恨みをつのらせながらあたしはスコップをしまった。かじかむ手に息を吐きながら縁側へ上る。
(…一瞬温まってきてしまおうか。)
目の前にはこたつつき冬季限定休憩所。目の前に餌を釣る下げられて、あたしが無言のうちで揺れてしまっていると。
「――あ、お疲れ様でさァ」
休憩ですか、と呑気な声を携え声をかけてきたのは総悟だった。方向的に厠帰りのよう。
いつもの癖でサボり帰りかと聞けば「心外ですねィ、今日は仕事してやす」とのこと。はの限定用法はとりあえず聞かなかったことにしてやろう。
479人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時