【銀魂】真っ正直姐さん【土方十四郎】

ラッシュ ページ13

「――お正月感がないと言えば」



二人揃っての控えめな笑い声が止んで、口を開いたのはあたしであった。……今度は、笑いもしまい込む。

真面目な顔で土方さんをちらりと見上げ、「そろそろ粛清ですよね？」なんて話を振った。いつか言ったアレもそうだし、



「ラッシュだな」

「本当に。予定見て驚いたんですから」



1月の中旬から2月中旬にかけて、粛清が三つも入っているのである。流石に規模はそこまで大きくないし全ての粛清が同じメンバーという訳でもないから比較的疲労は分散されるんだけど。

……でもそうは言っても土方さんと近藤さんと総悟あたりはどう転んだって出勤だ。――同情のため息に、かすかな不安が滲む。



粛清というのは必然的に死の匂いが付き纏うのだ。

いくら彼らが強いことがわかっているとはいえ……情けなくも、あたしは毎度毎度不安でどうしようもなくなってしまう。気取られたことはないけれど。





「―――湿気たツラしてんな」



――あたしが物思いに沈んでしまっていれば、土方さんがこちらを見て少し口角をあげた。「似合わねェぞ」




「……憂い顔の似合ういい女を目指してるので」

「どんな目標だ」




お前は何も心配しなくていい、と。ゆったりした動作で彼は煙草を買い、一本口にくわえた。




「全員そこまでヤワじゃねェよ、俺も含めて。お前が一番知ってんだろ」




ゆっくりと上がる白の向こうで、どうにもあたしを安心させようとしてくれているらしい土方さん。…不安が消えたわけじゃないけど、笑みは浮かぶ。




「――そうですね。何てったってあたしの飛び蹴りくらっても何ともないようなのばっかなんだから」


「…………粛清が終わるまでは飛び蹴り控えろよ」




一応この時期の怪我はまずい、と大真面目に言った土方さんに、あたしはケラケラ笑って頷いたのだった。

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