挙動不審の原因 ページ11
――にしても総悟か、と少しだけ頭を回す。……隊士の事情、知ってるかな。
「――ところで、総悟」
「どうかしやしたか」
「最近皆挙動不審なんだけどどうしてか知ってる?」
まぁ聞いて損は無いだろう。有力情報が貰えたら儲けものだという程度の気持ちで聞いてみれば、……返ってきたのは訝しげな視線。
「Aさん、そりゃあんたと土方コノヤローが一緒にいる時のみのアレで間違いねーですかィ」
「……そうだけど?」
「…まさか気づいてなかったたァ……」
とても残念なものを見るかのような目が向けられる。どういうことだ、どうしてバカにされてるんだあたしは。
こちらもこちらで眉間にシワを寄せていると総悟は「普通に考えたらわかるってのに」なんてため息まで吐きだした。
「どういうこと?」
「どういうも何も隊士どもはガッカリしてんでさァ」
「わけわかんない所で勝手にガッカリするのやめてもらえる」
だからつまり?と総悟を睨んだ。効き目はゼロらしいけども、そいつは肩をすくめて。
「大方、応援してた二人がくっついたのに期待してたようなやり取りが見られねェってとこですかねィ」
「ちょっと待て」
「全員言ってやすぜ、どこぞのカップルはありゃ恋仲なんつーのより熟年夫婦だとかなんとか。誰のことだかは分かりやせんが」
――いやそれどう考えてもあたしたちのこと!
彼らの挙動不審のくだらなさすぎる正体にため息が漏れた。……奴らにバレてしまったのは、元日のことだっけ。
なるほどだからかという納得がないでもないけど、それよりも呆れが大きい。あたしと土方さんなんていう組み合わせに一体何を期待したんだ。
ちなみに言うとあたしとその人は元日の日以来やはり概ねいつも通りである。変わったことといえば勤務時間外を共に過ごす時間が増えて――たまあに、激レアだけど、唇が触れるようになった程度。
無論人目のあるところでそれらしいやり取りなんてするはずもない。
「……総悟、隊士共にそういうのが望みならドラマでも見ろと伝えといて」
「無駄だとは思いやすが――…仕方ねェ、やってやらァ」
頭を抱えながら言えば頼もしくない返事が返ってきた。……不安ではあるけども、こればっかりはどうしようもないし。
まったくなにか期待する前にこちらの性分を考えてほしいものだ、とあたしは静かに重いため息を吐き出したのだった。
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時