【銀魂】真っ正直姐さん【土方十四郎】

身の危険　side?? ページ1

【side??】




―――最近なんだかあのふたりがおかしい。……それは12月中旬ころに隊士の間で密かに囁かれていた噂である。


ちなみにあのふたり、というのは言うまでもなく副長とAさんのことだ。聞けば同い年らしい二人はその年齢に似合わない貫禄を持ち、怒声をあげる頻度は屯所内でツートップを飾る。

お互い黙っていれば整っているその容姿、似合いの姿に昔からそこの仲を応援する隊士は多く、現在進行形で無数の野郎どもに生暖かく見守られている二人であるのだが。…どうにもその様子がおかしかった。



……ちなみにおかしいといってもそれは個人の話ではない。ふたりとも隊士や他人相手ならいたっていつも通りなのだが、その場に二人だけとなった途端空気が固まるのだ。

今まで和気あいあいとした雰囲気しか流れていなかったそこへ突如溢れた気まずさ。これに屯所は揺れた。



――一体何があったんだ、破局か、いやまだ付き合っちゃいねえだろ、だがもしかしたら密かにデキてたのかも……、つーか副長も男だしまさかその場の雰囲気で一線を…？、そりゃねえよ！等々。とても本人たちには言えぬような憶測がそこら中を駆け巡ったのは記憶に新しい。――が。


アレは12月下旬だったか。いつの間にか元通りに戻ったふたりの姿がそこにはあり。



結局アレは何だったんだ、倦怠期だろ、いやだからまだ付き合ってねえってば、と再び憶測が屯所を駆けたのは言うまでもないだろう。とにもかくにもそれ以降これといった変化もなく時は今年最後のその日となったのだが。





(――――や、やべえ。)



陽気な喧騒の中、酒に潰れず生き残っている仲間の中で俺はひとり震えていた。……それというのも。



(……見ちまった。)



――そう、見てしまったのだ。見てはいけないものを。……例のふたりの、ラブシーンを。

……酒というのは飲めば飲むほど厠が近くなる。例によって尿意をもよおした俺は厠へ行こうと千鳥足のまま襖を開けた。…………のだが。

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