ただの白い筒 ページ37
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――ゴリラの忘れ物を引き取ってもらって…あとそれに伴う色々から、二週間ほど。
まぁその、…奴と惚れ合っている仲となったからと言って特に接し方が変わったとかとんなことはない。相変わらず暴言のキャッチボールは続いているし。
(…変わったことといえば、)
お互いのアドレス帳に、相手の名前が入った、とか。たまに用があるわけでもなく会うようになった、とか。そんな程度である。
少しだけ変化を見せた日常に、私は柄になく幸せなんてものを感じていたのだけれど。
「――――で」
「……なんだ」
「どうしてこうなった、クソヤロウ」
「んなもん俺が聞きてェ」
――ここで少し、物申したい。
「――どうしててめえがここにいるクソガキィィィイイイイ!!!!」
すまし顔でゴリラと土方十四郎の間に腰掛ける、その薄栗色を睨みつけた。…現在地、キャバクラ。
わかるとは思うけども、ゴリラが来店したのだ。指名が入ったと言われて私は土方十四郎とゴリラのツーショットを思い浮かべつつテーブルへ向かったのだけれど。
「あり、気づかれてやしたか」
「ふざけてんの?目の前で悠々と酒飲んどいてふざけてんの?」
……そこに、三人目がいたというか。
「鬼の副長誑かしたキャバ嬢なんつったら改めて見にこねーといけねェ」
某クソガキが、スカした顔でこちら…私と土方十四郎へ視線を向けていたというか。
アレだ、ともかく。
「殺す」
「すぐに極論へ走るなお前は」
「うるせえなイケメン黙ってやがれ、殺す」
「だから落ち着け!」
どこか諦めたような顔で煙草に火をつけた土方十四郎。その火が点いてる部分だけ切り落としてただの白い筒にしてやろうか。
というかそもそもである、なぜこのクソガキはここにいる!
「何がどうなってこんなオマケついてきた!蕁麻疹出すぞ!」
「出すな。……文句なら近藤さんへ言ってくれ。こちとら総悟とはもう散々やりあったあとだ」
「討ち死にすればよかったのに」
「どういう意味だテメェはっとばすぞ」
「黙れイケメン」
それでなんでお前はここに、とクソガキへ目を向けた。目を向けたというよりは睨みつけた。
しかしそんなものはどこ吹く風でそいつは口を開き。
「漸くお二人さんがくっついたようなんで」
「くっついてねェ」
「くっついてねえ」
声が被った。こいつにバレたら終わりだというのは共通認識らしい。
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蘓澳 - さすが中村さん!って感じで楽しく読ませて頂きました! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@平日低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!もう嬉しすぎてどうすれば…!!! お陰様で二巻も完結とさせていただきました。次巻で完結かと思われますが、お付き合い頂けたら幸いですヽ(*´∀`)ノ (2016年9月4日 0時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 三巻楽しみにしてます!夢主ちゃんホントにいい性格ですよね!見てて飽きないですし、凄く応援したくなります♪ (2016年9月3日 23時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三巻も楽しみです!とりあえず土方さんカッコイイし夢主がイケメンすぎて辛いです← (2016年9月3日 23時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
命(プロフ) - 中村さんの作品は夢主さんの性格がリアルで、深く入り込めて読んでいて楽しいです。これからも応援しています!無理をなさらず頑張ってください! (2016年9月3日 23時) (レス) id: 6d7143e2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月25日 23時