【銀魂】有為の奥山今日越えて【高杉晋助】

始まったばかり ページ8

――――――


――駿河様のお世話係が始動して、数時間。･･私は･･･、



「･･お主、儂の服を探してこい」


「さっさと歩かぬか」


「･･･早く食事を用意しろ」




････これでもかというほどに、こき使われていた。･･お世話をしだして数時間のうちに既にもう数十回という命令をされていると思う。


(･･これでは前回の方も大変だっただろうに。)


顔も知らない先代お世話係へ同情の気持ちを抱きつつ、食事の膳を彼の前へ運んだ。･･しかし。




「･･こんな不味そうなものを食わせる気か」

「春雨の方で用意されたものです」

「春雨の飯を侮辱するのか！」



････私は何もおかしなことを言っていないと思うのだけど、どうだろう。そもそもこの膳を不味そうだと言ったのは彼の方であるし。

理不尽な扱いに眉を顰めてしまいそうになるのを精一杯我慢し。


(･･･“厄介”とは。)


こういうことなのかもしれない、と私はため息をついた。だけれどそれでことが解決したというわけでもなく。



「早く作り直せ」

「･･私が、ですか」

「他に誰がいる。世話係であろうが」




不快そうな視線が投げられる。･･でも、これっぽっちも痛くはなかった。

「はい」とゆっくり膳を持ち上げ。



「･･少々お待ち下さいませ、駿河様」




――――仕事は、まだ始まったばかり。

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