面白いことに、 side土方さん ページ38
【土方さんside】
――――
――団子屋を後にして、数分。つまり俺と総悟が屯所を目指して歩き始めてからも同じだけの時間が経過した頃、
「――にしても、土方さんが甘味を買うたァ珍しいこともあるもんだ」
と、口を開いたのは紛れもなくそいつであり。
「何か文句でもあるか。丁度近藤さんが甘いもん食いてェっつってたんだよ」
「別に文句ってわけじゃねーのに、気性が荒い男ですねィ」
・・・まぁ、その言い回しに少々苛つくのはいつものことだ。今は、それよりも。
「随分と入れ込んでたようじゃねェか、総悟」
「入れ込む?」
「看板娘だよ。お前が女にあそこまで興味示すなんざ初めてじゃねェのか」
そう、それだ。今日初めて会った団子屋の娘はかなりの肝っ玉の持ち主らしく、総悟に遠慮なしで口を聞く上怯えも媚びも見せなかった。――所謂、珍しい女の部類だ。
そしてその団子屋に通っているというそいつは、見た感じかなりその看板娘を気に入っているようであり。
「惚れた腫れたにうつつを抜かして職務怠慢になんじゃねェぞ。・・・まァ、職務怠慢はいつものことだが」
「・・・・これだから年寄りはすぐにそっちに話を繋げたがっていけねェ」
「オイ誰が年寄りだ」
総悟は俺の言葉に「土方さんに決まってまさァ」とわざとらしくため息をつき。
「俺がAに惚れたとでも?冗談は顔だけにして下せェ。奴を気に入っちゃいやすが、別に惚れてるわけじゃねーや」
「・・・そうか」
・・と、その場は取り敢えずそれで終わりにしてやったが。
(・・・・・・・だがな、総悟。)
――少なくとも俺の見る限りじゃ、結構あの看板娘にぞっこんだったぞ。
・・・無論、そんな言葉をかけてやるほど俺は優しかねェし、総悟とて望んじゃいねェだろう。
一本取り出した煙草に火を点け紫煙を吐き出しながら、こりゃ面白れェことになりそうだと少し口角を上げたのだった。
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はーちゃん - めっちゃドキドキやった! (2019年8月21日 1時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
にっくねーむ - とっても面白かったです! とてもドキドキしました!!! 他の作品も読んでみたいです♪ (2016年5月11日 1時) (レス) id: 57516f0401 (このIDを非表示/違反報告)
ありっぺ - 面白かったっす\(^o^)/ (2015年2月27日 23時) (レス) id: ac7841cdae (このIDを非表示/違反報告)
はやぶささん - 二次創作で一日に二万hit・・。凄いですね。一巻完結おめでとうございます。 (2015年1月3日 23時) (レス) id: c2bc40497c (このIDを非表示/違反報告)
fu - 沖田隊長かわいすぎ、続きたのしみです (2015年1月3日 12時) (レス) id: b08392d8ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2014年12月30日 23時