番外編�ΑТ脅� ページ37
――――
『――これで二学期終業式を終わります』
――現在地、そんな声が響く、体育館。隅の方で他の先生たちと並んで座っていた私は、思わず身を強ばらせた。……と、いうのも。
(…終業式が終わったということは、つまり。)
『では、これから離任式を始めたいと思います』
私の離任式が、始まってしまうわけでして。
不可抗力の緊張に襲われながら司会の先生の指示を待つ。気を紛らわせようと生徒たちへ目を向ければ、彼らもどこかそわそわとしていた。
(そういえば、私が高校生のときも皆こんな風だったのかな。)
忘れもしない3年Z組を思い浮かべる。…いや、奴らはこんなに微笑ましい高校生ではなかった。訂正だ。
どちらかというとそわそわというよりガヤガヤ、ドヤドヤとしていたなあなんて私が数年前へ意識を飛ばしかけたそのとき。
『――離任される先生は登壇してください』
そんなアナウンスが、耳に飛び込んできた。
ふぅと一息ついて、立ち上がる。ゆっくりとステージの方へ歩いていけば、「やっぱり和田ちゃん…!?」「うっそだろ、坂田アイツ許さねえ…」などなど、エトセトラ。生徒たちのざわめきが耳に届き。
『この度休職される、旧姓和田先生です』
(…私は。)
――私は、幸せだな、なんて。
こんなに生徒に好いてもらって、好きな人にも大切にしてもらって。…幸せだ。幸せすぎる。
じゃぁ、せめて。
まずは、せめてこの生徒たちに精一杯の感謝を伝えなければ。
緊張や羞恥は最早私の中から消え去り、素直にそんな思いが浮かんだ。
――そうして。
「――――皆さん、こんにちは」
私は、口を開いた。
目の前には真面目な顔や眠たそうな顔、悲しそうな顔や切なそうな顔でこちらを見つめてくれている生徒たちがいて。
「私は新任のときからずっとこの学校に勤めさせて頂いてきました。まだ未熟な私を先生方も生徒の皆さんも優しく受け入れてくださって、本当に有難かったことを覚えています。
特にここ数年の生徒の皆さんは私に愛称を付けてくれて、恥ずかしかったけど…嬉しかったです。ありがとう」
微笑みを浮かべながら生徒たちを見回してみると、涙ぐんてくれている子もいた。……本当にありがたい。
――その後は今までの感謝をできる限り伝えて、一区切りついた頃。
「――それで。…えぇと、皆さん知っている方も多いと思うんですが、私、今年度の初めころに入籍しまして」
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はーちゃん - とても良かったよ！ まだまだ見たいです。 (2019年8月27日 2時) (
レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
中村＠低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!集計期間が短くて申し訳ないのですが、続編希望の声がこんなに沢山頂けてとても嬉しかったです！続シリーズupさせて頂きましたので、多分これで最後となる気がしますがお付き合い頂けたら嬉しいです！本当にありがとうございました！ (2016年8月21日 20時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
天宮*(プロフ) - 続編希望です！ (2016年8月21日 19時) (レス) id: d2dd794e95 (このIDを非表示/違反報告)
烏猫(プロフ) - 続編、お願いします。 (2016年8月21日 14時) (レス) id: 6aabce14a9 (このIDを非表示/違反報告)
ほわいてぃ(プロフ) - 番外編でもいいので続編希望です！ (2016年8月21日 13時) (レス) id: 13eaafcfd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2014年11月23日 15時
