検索窓
今日:38 hit、昨日:4 hit、合計:73,535 hit

31 ページ31

一「…そォいや、アレから何もねェのか?」

『誘拐未遂?うん、何も
てか気にしてくれてたの?』

一「…」



あれま黙っちゃった。


やっぱこの子いい人だよね
あ、違った良い悪党なのか。




『でもいつかまた来るかもね
理由はわからんけどその時はちゃんと対処するからサ』

一「また拐われてやろうって思ってンのかよ」

『どうだろ
私が知りたいのは、何をされるかじゃなくて私の過去だから
それが知れれば別に』

一「相変わらずぶっ壊れてやがンな」

『そう?』




壊れてるだなんて
あまりにもぴったりな表現

今の私にお似合いの言葉だ




一「お前自分の過去とやらを知ってどォすンだ?」

『え?』




思わずぽかんとしてしまう


知りたい、のは当たり前にあるものだったが
そう言えば知ったところでどうするのかは考えていなかった


あまりにも世界の理から外れたものだったら


それとも天国のような幸福なものだったら?



どっちであってもそれを処理出来る感覚がなければ結局どこか他人事になる

それこそ、人の記憶を吸い取るのと変わらないような…



『…私は、』




過去を知って、そうすればこのよくわからないどろりとした何かも思い出せる保証はない


とくとくとなる鼓動のリズムも、意味深に伝う汗もどれもがなんでなのかわからない。




『それでも知りたい。
だってさ元々は私の所有物だったんだ』



だったらさ、知って記録したっておかしくないじゃん?



一「…そォかい」



そう呟いた一方通行は体勢を変えると腕を伸ばして

そのまま私の額へと伸ばしてきた




『ぃだっ』

一「俺はもう行く、オメェも仕事に戻れ」



なんなんだ急に、デコをピンとされたぞ



『あぁそうする』




杖の音と、ローファーの足音が重なり交差する



(っ…なんだ?これ。)




心臓がどくどくと揺れて騒がしく締め付けられる痛みに



変なの、と思いながら
私はまた元いた場所へと戻っていくのであった

32→←30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
61人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

弦一郎(プロフ) - りほさん» ありがとうございます^^原作が小説のものってなかなか難しいですが、楽しんでいただけたら幸いです。 (2019年8月25日 22時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
りほ(プロフ) - 相対性理論からきました!書き方が本当に好きですぅ…。 (2019年8月25日 21時) (レス) id: 020412926d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:弦一郎 | 作成日時:2019年8月25日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。