隣人事変 III【角名倫太郎】

104 ページ4

えっとーまずわあ〜



フードコートに移動しまして
2人の少年をはべらせて、まるで面接でもしてるみたいに座った



治「で、なんで角名突然帰る言うたん？」

『私が、プレゼントに何が欲しいか聞いて』

渡辺「ふむふむ」

『お揃いのものとかって言われたので』

治「ほーう」

『アキラはお揃いは嫌がるかなぁって言ったら、帰ってしまって』

「「ちょっと待って」」



ハイ。


頭を抱えるサムとワタナベ様

2人とも手のひらを向けてきて、何さ。



渡辺「店員さんそれ一連の流れ？ざっくりすぎじゃない？」

治「そもそもプレゼントって角名にやなくて？」

『え、弟にだけど…？』



キョトンと答えると
今度は2人は目を合わせてしまった

そしてはぁ〜っとため息



渡辺「あのですね、店員さん」

『なんでしょうワタナベ様』

渡辺「2人でいる時に、そう聞かれたら誰だって自分にと勘違いします」

治「弟くんにあげるもの何がいいかって聞かな…」

『あっそういえば言ってないや
アキラが弟だって』

「「それだ」」



思わず、どれだ？と指を方を見るため振り返るが何も無く

というか2人の指先は私へ向けられている



渡辺「なんの突拍子もなく他の男の名前が出てきたら帰りたくなりますよ」

治「俺も怒るかもしれへん」

『…そ、そういうものなのか』



なるほど、期待させといて落とした…のか



『………』



急に真顔になった私に2人も釣られて真顔

そして無言。



…ああ、私すごく悪いことしたんだ

期待を大きく裏切って、それで怒らせてしまったんだ。


一番大事な、優しい彼にも同じこと、したのか。



『………どうしよ。』

治「メリーちゃん、大丈夫や
ちゃんと言うたら角名は分かってくれるで」

『そう、かな…』

渡辺「そうですよ！アイツ面倒くさがりですけど話とかちゃんと聞いてくれるやつですから！」



できることなら倫太郎とまだ隣人のままでいたい

そんな浅はかな気持ちを隠しながら、友人がここまで言ってくれるんだ、大丈夫なんだろう、なんて。



『謝ってくる、ありがとサム、ワタナベ様！』

治「おん、頑張りや」

渡辺「仲直り出来たらまた角名連れてお店行きますね」



じゃあねと告げてフードコートを飛び出して

あっそうださっきのお店、寄らなくちゃ

105→←103

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す