隣人事変 III【角名倫太郎】

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やっぱいいな、ベッドって



倫太郎って温かいねって言ったのは数日前



角「Aってちょうどいいよね」

『何がって聞くべきかな？？』



ぶっちゃけ言えば、シングルベッドにこうやって2人で横になるのは狭い

けどこの狭さが意外とよかったりすんだなぁ


倫太郎とくっつくのは安心する

ハグってストレス軽減効果があるってマジじゃん



アキラから送られる毒のような文字が今日に限ってやたらと刺さった

私がつける裂くような傷とはまた違う、ズブリとささる言葉の刃



大岩も切れるんじゃってレベル。




『私って背低い？』

角「俺からすれば大概の人は低いでしょ」

『ごもっとも』




倫太郎が185？四捨五入すれば6センチ

対して私150…あれ、いくつだっけ？



保健室の主としてこれは今度測っておかねばならぬ所存

ついでに体重も。


スリーサイズはシオンさんが測ってくれたから知ってる



『抱き枕サイズか』

角「このくらいがちょうどいいよ、Aは」

『喜ぶべきかな』

角「喜んで」

『ワーイ』




とんだ茶番劇だ
でもこれがめっちゃ楽しくて


腰に回った腕の重たさが心地いい




『ふひゃっひゃっひゃっくすぐったい』

角「Aって首弱いよね」

『うひャひャひャひャっやめっ…！』




倫太郎の鼻先が首筋にあたってくすぐったい


刺さったナイフが抜けてくみたいだ


心と体の疲れがとれてく
やっぱベッド欲しいな…

けどベッド買うならソファー捨てなきゃ
部屋がめちゃくちゃ狭くなる


それに倫太郎はたぶん私が本当にベッドを買うわけないって分かってる




『(なんてのは、都合のいい解釈だ)』

角「A？」

『ん？』




不意に名前を呼ばれても振り向くことができない

返事だけするといつになく優しい声



角「おやすみ」




自分でも分かってる
普通、ただの隣人はこんな事しないって


でも私は悪いヤツだから




『うん、おやすみ』




幸せと感じる事を罪悪感にしてしまえ

そうしたらほら、おかえりなさいロクデナシな私


…おかしいな、もっと、もっとって求めるのはナンノコト？




『(触れて欲しい、なんてとても言えない)』



その先は夢の中にでも連れていこうと思いますの。

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