隣人事変 III【角名倫太郎】

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▼side 角名




『ねーこれどう思う？』

角「ん？んーー…」



珍しくスマホをいじってるA


画面に映るのはなんとも言えない写真




『シオンさんがね、この服くれるって言うんだけど』

角「どこで着るの？」

『わからん』



トルソーに掛けられたマリーアントワネットもびっくりなドレスみたいな服

たぶんゴシックロリータってヤツ。



『作った服整理したいらしいんだけどさすがにこれはなあ…』



ガラクタなら嬉々として買うAもさすがに考えものらしい

そういう思考があることに驚きだ。



角「…でもちょっと見てみたいかも」

『ヴえ゛っ！？』

角「どっから出たの？今の声」

『わからん』



Aから渡されたスマホをもう一度見てみる



『あ、それ着てさ
狛狐ブラザーズ追いかけるのどうよ？
私メリー、今あなたの後ろにいるのって』

角「やめな」




想像したら笑いそうになったけどやめて欲しい

絶対うるさいし、絶対めんどくさいと思うから


スマホを返そうと手を伸ばすとAの指先が画面に触れた



角「(ん？)」



と、思った時パッとAがスマホを手に取る



『さすがに今回は断ろうかな
シオンさんには悪いけど』

角「…そうだね」



画面は洋服の写真じゃなくなって、トーク一覧が表示された状態

1番上にあったトーク画面を開くとAは文字を打ち始める。実に遅い指さばきだ。俺でなくても見守っちゃうね。


えーっと、なんて言って断わりの文字をゆっくり、ゆっくりと打ち込んでいく姿は全然JKに見えない



角「(さっきの、アキラって書いてあった)」



偶然、Aが触ったのはバックボタン

そのせいで見えた画面の中にはアキラって名前



『ぬおぅっ？！…倫太郎？眠い？』

角「眠い」



Aの細い肩に顎を乗せて寄りかかる

なにその声


色気もへったくれもないいつも通りのAに口角が上がる



角「ね、今日もこっちで寝な」

『…いーの？』

角「いいよ、てか
ベッド買うまでそうしなよ」



この前うちで寝た時やっぱベッドいいなって言ってたの聞こえてたから


けど、一生ベッドなんて買わなくていい



角「ほら、おいで」

『そいじゃ、お邪魔しま〜』




また俺はAの腰に腕を回す

閉じ込めるように、居なくならないように


チラッと見えたトーク履歴

パッとみただけでもわかる文字の羅列

お前なんか消えちまえ、って。




ふざけんなよ

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