隣人事変 III【角名倫太郎】

120 ページ20

侑「なあ、アランくんメリーちゃん…と、仲良かったん？」



お揚げはとっくに胃の中


最後のうどんを啜り、横にあるおにぎりに手を伸ばしアランに視線を向けた




尾「Aか？せやなあ、俺より信介のが仲は良かったな」

侑・治「 えっ 」



双子の声が揃う
無理もない、我らが部長を真面目人間とすればAはまったく正反対が彼らの認識



尾「なんで驚くねん
Aってめっちゃ頭良くて、よう信介とトップ争いしとったんやで」



ますます困惑する

とてもじゃないが2人の知ってる彼女じゃあない



尾「せやから金髪て聞い驚いたわ
いやホンマに…イメージがわかん」

北「…けど、中身が変わっとるわけやない
本の好みとか仕草も…そのままや」

尾「そいや会うた言うてたなぁ」



見てみたいなぁとしみじみしてるアランを他所に困惑が隠せない双子

しかし、ん？と首を傾げたのは侑だ



侑「会いに行けばえぇやん
保健室登校やからって会えへんわけやないし」

尾「それは…そうなんやけどなぁ」



なんだか歯切れの悪いアランはどこか気まずそう



尾「俺ら去年の秋から会ってないねん
保健室登校なのもお前らから聞いて知ったし」



秋…夏休みも開けた今約1年も顔を合わせてない彼らに疑念の目を向けたのは治だった



治「なんでそない頭えぇのに留年してもうたんやろ？」



そんな質問に苦虫を噛み潰したような顔をするアランの隣では涼し気な顔で汁物を啜る北



北「治、そういうのは本人の居らんところでする話ちゃうで
それにアイツも聞かれた無いことのひたつやふたつあるやろ」

治「ゔ…ッス」



正論パンチをくらってしまった



尾「そ、そや、今日はA来とるんか？」

侑「え？おん、今は角名とメシ食うとるんちゃうかな〜」

尾「そうか〜
まぁ元気そうで何よりやわ！」



冷えそうな空気をどうにかしようとするアランを他所にごちそうさまでした、と手を合わせ食器を下げに行ってしまった北

残されたアランにキョトンとした双子の視線が集まる



尾「すまんな…ああは言っても信介もAのこと心配してんねや



＿＿＿もしかしてAのこと追い込んでもうたんは自分ちゃうかって考えとった時期もあったからな…」



そんな言葉に何か言えるわけもなく、気づけば食事を終えたアランも北を追って学食を後にしたのだった

121→←119

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す