【ハイキュー】能のないバケモノは爪を隠せず３

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トントンっとリズミカルに左腕でボールがバウンド

あぐらの上に乗せたバインダー
今日だけでルーズリーフ何枚減ったんやろ…



角「 ばあ 」

『わっちょっ！何！？』


ボールは床に落ちる
真っ暗になった視界、角名の声



角「すげー顔」

『驚かさんといてや！
あーもうほんまびっくりした』



急に後ろから声かけられたら誰だって驚く
それに今体育館には私だけ

お化けじゃなくてほんまよかった



『みんなは？』

角「帰った
北さんが鍵閉めるって言ってたから、俺がやりますって名乗り出たの」

『珍しいこともあるもんやなあ』



普段なら真っ先に帰るのに

体育館の鍵をくるくると回す角名の指先はテーピングだらけ


大器晩成と言いつつ実は見えないところで努力をしているやつなのかもしれん



角「練習中もなんか書いてたけどそれ何？」

『これか？フッフ…観察日記や』


キリッ



角「…ああ、そう」



リアクションうっすいなぁ！



『前はなんとなしでつけとったんやけどな
今回からダイナミックに書かせてもらおうおもて』

角「へー」



挟んだルーズリーフをめくる


ずっと練習しとるところはみてられんから
合間に観て感じたこと、思ったこと気づいたことを書き記した



角「うわ、俺の事書いてある」

『せやで
ブロックのタイミング良かったわ
銀島くんの手よう見とって』

角「ふーん…」



選手の立場から、マネージャーへ
まあただの雑用やけど、今自分に何ができるか

何をしてもらったら嬉しいか考えた結果


…と、いうのは建前でホントは彼らの練習からヒントを得るため



角「こっちの紙は？」

『あっこらまた勝手に
…まあえぇか、うちがバレー教えとる双子への練習メニュー』

角「ああ」



最近よう、考える


セッターになりたいと言ったたっつんの為にうちは何をしてあげれるか

侑はコートの中から彼らに確実に影響を与え引っ張った


ならうちは…？



角「なんかマネージャーってより、監督だね」

『監督なんて、そんな大層なものやないわ…
…うん、けどうちあの子たちの先生やからな』



前まではただ呼ばれてるだけそう思っとった

けどいざ、明確に何かを教えようとするとこう、心が踊る



周りも見えなくなるくらい夢中になって得た物を

誰かに伝えたいと繋ぎたいと思う


それがうちの「打たしたる」なんかもしれんって。



角「…ふっ ねぇAセンセ」

『なんです角名くん』

角「明日、ひま？」

『へ？』



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