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▼side 角名



潮風を浴びて波の音を聞きながらゆっくりとAの話を聞いてる



標準語に戻ったところが終わりの合図


新鮮だと思ったそれもすっかり俺にとって日常的なものだ



この数ヶ月の答え合わせ

この人言う刺激的な人生は刺激って言うより重りで




角「俺は今のA、いいと思うよ」



引いたら、なんて言わないでよ
引くわけないじゃん



角「Aは充分頑張ってるでしょ」




留年とか、俺にはできない選択

それでも自分を守ろうとするなんて、俺にはきっとできない。


それだけ俺は…恵まれてる



ああ、ほんと…もっと早く気づいてあげられたら良かったのに

面倒くさがらないで、音がうるさいんですけどって声をかけていればよかった



寝不足なんて比べ物にならない


Aはもっと重たいものに縛られてきたんだ



角「今日だって、学校に来てくれたじゃん
バイトも一生懸命やってる」



そしたらこの涙をもっと早くに拭いてあげられたのかな。



角「俺はAのこと失敗作なんて思わないよ」

『……っ、倫太郎は、魔法使いか何かなの?』

角「違うよ救世主
原付しか乗れないし、バイトもしてないから金ないけど」

『ふへへ、落とすじゃん』

角「ほんとのこと言っただけ、俺嘘つかないから」




Aは声に出さずただぽろぽろと涙を流すだけ

どれだけの数の涙を流してきたんだろう。

こうやって一人で声を殺して来たんだろう。



角「いつでもおいで
俺はAが生まれてこなきゃよかったなんて思ってない」





もう、一人で泣かないでよ
全部話してくれたように、これからは全部俺に見せてよ。


もう、迷惑な隣人でも、危ない人でも胡散臭い女の人でもなんでもない




『……は、ははっ…
君ってほんと……っ、』

角「夏休み入ったら、また海に来ようよ
今度は花火買ってさ
楽しい思い出たくさん作ろ?」

『じぇーけーらし〜…』

角「うん、そう
高校生って実はすごい大変なの。
だから覚悟しておいてね」



鳥みたいな人だと思った
小さな体でこんな所までバイクを走らせて


人懐っこくて繊細で、危なっかしくて、そんで凄い…寂しがり屋




もうちょっと、もう少し慣れたら…Aが抱える傷が癒えたら



俺は今のAが、“ 好きだよ ”って伝えてもいいかな。



…その傷を癒すのも俺だったらいいなって

だってほら、俺はそう…たった一人の隣人だから

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弦一郎(プロフ) - 鷹鷹さん» ありがとうございます!頑張ります〜!! (2021年2月14日 16時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
鷹鷹(プロフ) - メッッッッッッッチャッ好きです…更新頑張って下さい! (2021年2月14日 1時) (レス) id: a315003b9c (このIDを非表示/違反報告)
弦一郎(プロフ) - Nagitoさん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますヾ(*‘ω‘ )ノ (2021年2月12日 15時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
Nagito(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです、これからの展開楽しみに待ってます! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 27cb39652f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弦一郎 | 作成日時:2021年2月6日 16時

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