隣人事変【角名倫太郎】

39 ページ39

「苗字」

『ミクリヤー』

「年齢」

『じゅーはち〜』

「出身地」

『ひょーご』

「職業」

『高校2年！アルバイター』




後ろからリンリンが淡々と

毒キノコのステッカーのついた半帽がよく似合ってるって言ったら怒られた



『今日だけで色々バレたねー』

角「なんで内緒にしてたの？」

『んー？そりゃあ気持ち悪いっしょー？
隣に住む変な女が実は同高のタメってさ』

角「別に…俺は思わないよ
むしろ嬉しかったし」

『おっ』



バックミラーにチラッと眉を八の字にする少年が写り込む

2度目の2ケツ、あの時と同じく彼はタンデムグリップに掴まっている



ちょうどタイミングは信号待ち
彼の手をとって腹回りに回した


私のビックスは後ろのが高いし、倫太郎の背も高いから嬉し恥ずかし胸下だけどお許しを。



『この後はー？』

角「ひま、だけど」

『んじゃ寄り道しようや』

角「え？」

『レリゴー！』



ギュイーンとハンドル握って帰り道を逸れる
蒸し暑い夜に心地いい風が頬を撫でる


倫太郎はとってもよい子だから。
心配する分だけひとりで考えちゃうような子だと思うんだ



バレーボールをひたむきに頑張ってんのに
見知らぬ隣人都市伝説女のことまで心配しちゃってさ！



こんなにいい人に巡り会えるなんてあたしゃ幸せ者

だからすまん、今日だけちょっと甘えさせてよ。




『吐き出しに行こーぜ！』

角「…ふはっ どこにだよ」

『海！』

角「夜じゃん」




情けなくて、クソッタレな雑巾なんだけどさ


君に出会えてよかったよ。

まさかこんなに、誰かと一緒にいるのが楽しいなんて思わなかった。

風に煽られるスカートも、ワイシャツもなんだか軽い



学校へ行こうなんて思ったのも君が毎日頑張ってるの見たから



そんな偶然に乾杯！
星たちもほら……って雲！邪魔や邪魔！！



まあなんだ、何はともあれ
今日も私、一日を生きること、達成です。

40→←38

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す