隣人事変【角名倫太郎】

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まるで荒波だ、渦潮だ


ヴーヴーとうるさいくらいに押し寄せる。



『(げっ…)』



私はあまり携帯というものが好きじゃない

煩わしいから。



その点倫太郎は凄い
まるで体の一部のように片時も話さない


コイビトだなありゃあ



そんなことよりもこの私、カバーだけはいっちょ前のそれを手に取れば

勝手にはいっている色んなアイコンに通知の数が表示されていた



『(はあ…またか)』



憂鬱になる、迷惑の嵐


表示を消す作業がめんどくさくなってやめたのはいつだったか



スイスイと親指で適当に画面をスクロールしてるとピコッと上の方にバーが表示された




『…ふっ』



そういえば連絡先を一応交換したっけ



倫太郎からのトーク

あの駄菓子屋さんに抜け出して行ってきたんだって。


あの子も結構悪い子だ



『楽しそうだな〜、少年よ』




テストも明けて、あと数日もすれば夏休みなんだっけ？

休みでも毎日学校に行って練習をするんだってさ



本当に凄いや

月末は確か、全国大会

インターハイって言うんだって。



日々練習を積んで、大いなる舞台で発揮する

カッチョイイよな、マージで。

私にゃんなことできない



たがしかしこんな私でも今日1日を生きることはできる
ただなんとなく、なんてことない日を送ることくらい




『…たまには頑張ってみっか』



その中でたった一日頑張ることくらいなら、多分私にも、できる。

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