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どれくらい歩いたか

時間にして10分程度



「あの、傘ささへんのですか?」



不意に聞こえた声に俯いていた顔を上げた



「っ突然すんません…
傘持ってんのになんでささへんのかと気になって…」



泣いてるのでも思ったのか彼はギョッとした顔で私を見下ろした


でっけぇな。



『別に、私はただの雑巾なので
雨に濡れようがかまへんのです』

「? そ、そうですか…」



あからさまに引きよって
雑巾なめんな、濡れたら絞ってまた使えるんだからな。




「ちょおサムどこ行くねん!
俺の傘穴空いてんねやから入れろ言うたやろ!」

『はて?』




雨音と微妙な空気を割くようにもう一人

まろ眉の銀髪の後ろからひょっこり




『スタンド使いかなにか?』

「「 は? 」」



もしくはアレ、ドッペルゲンガー


サムと呼ばれた彼、さすがは横文字の名前だけある




「…双子です」

「えーなんやサム、急にどっか行きよるから何かと思えば、知り合い?」



なるほど、双子か。そっくり
まるで神社にいる狛狐のよう



「今知り合うたばっかりや、こちら雑巾の方らしいわ」

「は?
何言うてん?頭大丈夫か?あだっ」





銀髪の手が金髪を引っぱたくとポカスカと喧嘩を始める始末



ちな私、未だに雨に濡れている


ちゃうわ!この人が雑巾言うたんや!お前に人でなし言われる筋合いない!とのこと。



『…あの、傘壊れてんならこれ使います?』

「え!ええの!?」

「いやツムの事より自分やろ…」



いいんです、雑巾なんで、私。



『濡れたい時に濡れなやってられへんからな
せやからこれは必要な人が使うたらええ』

「ええ…風邪引きますよ?」

『バカは風邪ひかん言うからだいじょぶ』



ビニ傘を金髪に押し付ける


申し訳なさそうにする銀髪に比べ彼は嬉々として傘を開くが

如何せん閉じたままの状態で手に持っていたから中に溜まった雨がジャバってした



「冷た!!ってアンタこれもしかして分かっててくれたんか!?」

『なっはははは!事故や事故〜
あー笑った、ンじゃ私行くわ
話しかけてくれてありがとー(ザバァッ!

………。』



格好もつけて、笑いも取ったところ
走っていた車が水溜まりを踏んだ


お陰で私はびしょびしょの美女




「だっはは!!俺をはめるからバチ当たんねや〜!」

「うわっ!大丈夫か!?」



なんだこれ、バイトはクビだし泥水は浴びるし


『ふはっ雨に濡れとってよかったわ』



踏んだり蹴ったり、こんな日もある

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弦一郎(プロフ) - 鷹鷹さん» ありがとうございます!頑張ります〜!! (2021年2月14日 16時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
鷹鷹(プロフ) - メッッッッッッッチャッ好きです…更新頑張って下さい! (2021年2月14日 1時) (レス) id: a315003b9c (このIDを非表示/違反報告)
弦一郎(プロフ) - Nagitoさん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますヾ(*‘ω‘ )ノ (2021年2月12日 15時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
Nagito(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです、これからの展開楽しみに待ってます! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 27cb39652f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弦一郎 | 作成日時:2021年2月6日 16時

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