隣人事変【角名倫太郎】

21 ページ21

どうもAと申します



趣味はバイト、特技はY字バランスと言いたかった人生



最近の悩みは梅雨のお陰でバイクに乗れないこと


つまりあれ、どこに行くにも徒歩でゲス



クルクルとビニ傘回してさ
梅雨の時期はやんなっちゃうよ



それはそうと最近私、少しだけ環境ってヤツが変わりましたの。



いっつもバイトと家の往復、たまに住処を空けたりしてそんなフリーター生活をしていたけど


醜態さらして迷惑かければ、今度は私が救世主になっちゃったりして


それから気づけばグンっと仲良くなった隣人のオトコノコ



角名倫太郎、通称少年である



制服姿を見た時はさすがに驚いたけど
まあ私もコウコウニネンセイだしん？



そんな彼はなんとスポーツ推薦というので他県から兵庫県に来たらしい

全く今どきの若い子は凄いよね




そんであれよ、そんなガッツの入った話を聞いたら私も頑張ろうとか思っちゃう訳で


張り切って仕事頑張っちゃおって、わざわざ歩いたのに







「あの、御厨さん…今日からもう来なくていいから」

『oh』




バイト先、クビである。



オハヨウゴザイマースって従業員入口をくぐったら既に纏められた私物を渡されてポイさ



なんだこれ、ドラマか。


せっかく早く起きたのに



バイト先は隣町の花屋だった
従業員は女だらけ


閉められた扉の奥からはクスクスと笑い声が聞こえて来た




そういや最近入ったオンナもそこに居たな



そりゃあ私は花を愛でる趣味もないし、フローラルな香り漂う女でもない


薔薇くらいは似合うと思ってたけど。



『はぁ〜…アホくさ』



閉じたビニ傘を開く気も起きず来た道を引き返した

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す