雨のち飴《青》 (ページ7)

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mukai side

向「なあ、おかしいと思わへん？？」

んーと足を組みながらサンドイッチを頬張るのは後輩だけど信頼出来る営業マンなめめ。

目「え、何。その子そんなモテんの？」

向「Aさんは素敵な人やもん」

しゃーないでと呟き俺も自作の弁当を開いて箸を取り出した

目「うわ、美味そう」

向「これな、簡単よ結構」

目「一個ちょーだい」

向「あーんしたるから、口開けて」

目「あー」

向「って、何してんねん」

我ながら軽快なツッコミやなと感心しつつ、俺の作ったミニバーグを食べるめめ。

目「うまっ、えー、俺の分作ってよ」

向「金かかるで」

目「ケチ」

まあ、めめが女の子やったら考えとったわ。

向「話戻すんやけど、どう思う？」

目「あー、そのふっかさんって人と翔太くんって人と阿部ちゃんって人？」

俺とめめの隠れ家的なこのビル最上階の隅っこの物置き部屋。五階建てやねんなここ。
まあ、誰も居ないからこんな話も出来るんよね。有難い。

向「そう。その三人絶対好きなんよ、Aさんのこと」

目「じゃあ、康二は？」

それなんよね。そこなんよ。一番デカい問題は。

向「それが分からんねん」

ちまちまと進む弁当。今日は完食に中々の時間がかかる。

目「でも、挨拶が楽しみなんでしょ？」

向「んー、まあそうやなー」

目「てか、会ってみてえわ。そんなに魅力的な女性」

向「めめはあかん。」

なんでよとちょっぴり拗ねるめめは置いといて残りのおかずと米を胃に送り込む。

だって、めめ絶対好きになるもん。Aさんのこと。

目「ふはっ(笑) 康二ガチな顔してる」

冗談だってと俺の肩をぽんと叩き、可愛いだのなんだの言ってイジりまくった

笑いすぎたのか目を擦っためめ。

目「まあでも、諦めんなよ」

真剣な眼差しで前を向いて話す彼は、不意にも綺麗やと思ってしまった。

向「なんで、俺がもう恋してる前提やねん」

目「恋してんじゃん」

向「うーん、俺みたいな男、眼中に無いと思うねんけどな、」

目「やっぱ、好きなんじゃん」

好き、なんかな。傷つくだけだったら、諦めたい。

叶わへんくて一人で泣いとるのが目に見えとるから怖いんよ。

高嶺の花ってこういうことを言うんかな。