雨のち飴《青》 (ページ4)

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向「翔太くん、おはよーさんです」

席から立ち上がりまたペコッと挨拶をする礼儀正しい向井くん。

渡「あー、おはよ」

片手を挙げどうもと言わんばかりに横目で向井くんに挨拶をする翔太。

渡「あ」

「おはよ」

渡「あ、うん、おはよ」

どこか気まずそうに目線を逸らし私の右斜め前の席に座った。

え、なんであっちが気まずそうなんだ？と思いつつ左隣の阿部ちゃんがクスクスと笑ってるのが耳に入った

「何笑ってんの」

阿「悪い悪い、ちょっと面白くて」

「性格が悪い男はモテないよ」

阿「別にモテなくてもいいもん」

深「俺みたいな優男が一番だよなー」

と私の頭にぽんと手を乗せて

「ふっかはリアコ枠狙ってるもんね」

コーヒーの入ったカップを片手に寝癖を直したふっかが私と阿部ちゃんの間に立っていた

深「Aは俺みたいな男が一番ってことよ」

ドヤっとした顔でカッコつけたふっか。
その時翔太が一瞬こっちを見た気がした

「まあ、そうかもね」

と俯いて呟くとちょっと驚いたような顔をしたふっかが

深「え？あー、そうそう」

なんて言って動揺しつつも席に着いた

阿「何、まだ落ち込んでんの？」

小声で聞く阿部ちゃん

「んー？別にー」

コロコロの椅子に座った彼がそのまま横に移動してきた

阿「なら、いいんだけど」

半信半疑で元に戻って行った

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翔太のことが気になりだしたのは、入社して一年が経った頃。

入社したばかりの時は、何にも分からなくてあたふたしたり、ミスをして上司に叱られて落ち込んだり、ととにかく慣れなかった

そこで、声をかけてくれたのが翔太と阿部ちゃん。

阿部ちゃんは分からないところとか困ったことがあったらいつでもなんでも教えてくれたし

翔太は俺も失敗ばっかだよ、一緒に頑張ろうなって支えてくれた。

今もそう。

ちょこちょこ三人で飲みに行ったり、ご飯食べたりして、気づいたら翔太に惹かれてた。

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深「お前、飯どうすんの？」

無心で作業してたら、時計はもう十二時三十分。
辺りは皆ランチに行っててふっかと二人きりだった

「どうしよっかな」

深「美味い定食屋教えてもらったから、一緒に行かね？」

ふっかはこう見えて、他の女性社員さんに好評。
優しくて気遣いが出来て、キャーキャー言われてる。大半が五十代のお姉様方なんだけどね

「え、行きたい！」

深「じゃあ、決定ー」

ふっかとご飯は久しぶりだったから、楽しみだな