雨のち飴《青》 (ページ16)

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数十秒がもの凄く長い時間に感じ

振り向いて、違うよって否定したかったけど何故か身体が動かなかった

「なんで、そんなこと言うの、？」

自分なりにたくさん脳を働かせ精一杯出した声。

渡「長い時間一緒に居たらなんとなく分かんだよ」

分かってない。全然違うじゃん。

全て知ってるような顔をして私を見つめないで。

「翔太の馬鹿」

私の中の何かが切れて、急いで鞄とジャケットを手に取りお会計を済ませその場を離れた。

何故か流れる涙。

明日は何着て行こうかなとかどんな髪型で行こうとか考えて紛らわそうとしても全然駄目。

止まってくれない。

とにかく急ぎ早足で、家へと向かった

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「え？」

マンションの前に人影が。

え、ストーカー、？

深「よ。待ってた」

「え、なんで？」

深「ってお前、なんつー顔してんだよ」

Vネックの白シャツに黒のチノパン、サンダル。

花壇の近くで座っていた彼が立ち上がり目の前に

「ちょっと待って、なんで？」

深「電話。全然出ねえから心配で。」

「え、電話来てた？ごめん」

じっと私を見つめ、そっと頬に触れる彼が

深「........ なんかあった？」

と眉を寄せて顔を覗いてきた。

「んー、何もないよ」

まだ残る力で精一杯作る笑顔

深「嘘。なんかあったでしょ」

一発で見抜かれるけど、こんな悩みふっかに相談なんて出来ないよ。

「......明日、楽しみにしてる」

じゃあね、また明日と言って軽く手を振り

また走って部屋へと向かった。

今は一人で居たい。

家に着いてからは

理由も分からずただ泣いて、その後お風呂に入って眠った。

リセット、出来るといいな。

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fukazawa side

昨日のAは一体どうしたんだろう。

と考えつつ、明日楽しみにしてると言った彼女の顔が忘れられなくて

最高に楽しませてやろうと気合いを入れる。

まあ、運転するのは俺じゃないんだけどね。

岩「おはよ、ふっか」

俺の家の前に綺麗に駐車した車を横目に

煙草を吸う彼は、今日の運転手。ドライバー。

深「今日はよろしくお願いしますね」

岩「はいよ。誰乗っけてくんだっけ」

深「んーと、ラウールとAかな」

岩「ラウールって、あの？」

深「そうそう、この前紹介した子」

ラウール

名前からしてハーフなのか外国人なのか。

彼の場合はハーフ。足が死ぬほど長いスタイリッシュな高校生。俺の弟的な存在。