雨のち飴《青》 (ページ12)

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「ん？」

チラチラと彼女を見ながらゆっくりと歩幅を合わせ

渡「昨日は、ごめん。」

と謝罪を伝えた。

そんな事だったのと言わんばかりな表情。

ヘラっと笑いながら

「それはもう大丈夫って言ったじゃん」

と言った君。

君は大丈夫って言っても、俺は大丈夫じゃなかったんだよ。

そんな思いは口から出ることも無く、足を動かし

ただただ前に進むことしか出来なかった。

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．

your side

渡「昨日は、ごめん。」

改めて聞いた謝罪。昨日もそんな声で伝えてくれたよね。

「それはもう大丈夫って言ったじゃん」

と伝えれば、俯いて少し悲しそうな顔をする。

「じゃあ、今度奢ってよ」

翔太の前に立ち、行く先を止めると

へ？と言いながらアホ面の彼。

渡「え、あ、うん。全然いいよ」

「何その顔」

ぷはっ(笑) と笑い彼の目を見れば、少し明るくなった様子で

渡「何笑ってんだよ」

とちょっぴり怒り気味に不貞腐れ、その後ふはっ(笑) と笑い合った。

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渡「なあ、今から飯行こうよ」

「随分と急だね」

渡「ふっかとは行ったのに俺とは行かねぇのかよ」

「え、なんで知ってるの」

渡「内緒。」

「まさか、ストーカー？」

渡「バカ、なわけねぇだろ」

コツンと翔太の拳が私の肩に直撃。

渡「行くの？行かねぇの？」

「翔太の奢りだったら、仕方ないね」

っしゃー、どこ行こうなんて言いながら車道側を歩く君は、きっとこの世界にいる誰よりもかっこいい。

どこがいいかななんて考えてたら、もうお店は目の前の一件だけ。

渡「結局、居酒屋かよ」

「いいじゃん、明日休みだし」

渡「まあ、アリか」

なんて言いながらのれんをくぐり、がちゃがちゃと騒がしい店内に入っていった。

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「翔太は何がいいー？」

早速ジャケットを脱ぎ、メニューがズラっと並ぶ冊子を手に取った

渡「んー、レモンサワー」

「あれ、レモンサワーなんて飲むっけ」

渡「今日はそういう気分なの」

ふーんと言いながら私も決めようとする。

目の前に座る彼はスマホに夢中。

「なんこつ食べようかな」

なんて独り言も聞こえてないみたいで少しだけ寂しくなった。

「翔太は何食べるー？」

渡「俺はねー」

？「あれー！翔太じゃーん！！」

翔太の背後から元気の良い声が降ってきた。