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第四十五話 ページ47

「中也さん、輪廻転生って知ってる?」

「人が何度も生死を繰り返すあれか?」

「そう、最近読んだ本に興味深い事が書いてあってね」

懐かしい記憶だ。
Aは楽しそうに俺の膝の上で跳ねる。濡れた髪を乾かしてやり乍ら俺はAの言葉に耳を傾けた。

「生きてる間に既視感って感じるでしょ?人は誰でも前世の記憶が残ってるんだって、でも不都合が生じてしまうから其の記憶は閉ざされているの。でも其の記憶が蘇る時があってね、前世と同じ状況に立たされている時に記憶が蘇るんだって。その感覚が既視感って云うんだよ」

「へェ、賢くなったじゃねェの」

「中也さんもね」

Aは自慢気に笑って見せた。
嗚呼、如何して今此の記憶が蘇って来るのか。



「……や、…中也」

俺の名を呼ぶ声に気付き我に返る。声の主の方に目をやると太宰が医務室の前に立っていた。
数分前、俺はAの事で太宰に呼び出された。探偵社を訪れると案内されたのは医務室。太宰を問い詰めたところ、矢張りAの記憶を取り戻すには彼奴を撃つしか方法がなかったらしい。
治癒能力を持つ与謝野とか云う医師に任せ、俺は医務室の前でAを待つことしか出来なかった。

「なァ太宰。手前がAの首を噛んだのも銃を撃てと云ったのも全て、Aの記憶を戻らせる為と云ったな?」

「嗚呼。君がAちゃんを探偵社に押し付けた判断も正解だ。銃を二発撃った直後もこうして与謝野先生の治療を受けられてる」

「莫迦……其れをもっと早く云ってくれよ」

「だって、私がAちゃんを撃つと云ったら君は止めるだろ?」

「まあそうだけどよ…」

長年背負っていた重石を一度に下ろす事が出来た様な感覚。俺は盛大な溜息を吐いてその場に座り込んだ。直ぐ近くにAが居るのに何もしてやれないもどかしさから解放されたのだ。
「嗚呼そうだ」と太宰は指を鳴らした。

「Aちゃんが戻って来たら首を噛んでやってくれ。彼女にとって一番深く記憶に刻まれている筈だ。…私じゃあ記憶が戻らなかったよ」

「手前が噛み痕つけた事に俺ァ縊り殺したくて仕方ねェが」

「仕方ないだろう…。因みに殺されたく無いから云うけれど、Aちゃんと同じ布団で寝ていないから安心し給え」

「手前の家に泊めてたのかよ!?」

「彼女の記憶をいち早く取り戻す為だって。あーあ、もう五月蝿いなァ…。」

太宰がやれやれと頭を抱える。
医務室に目をやると丁度部屋の扉が開いた。

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- 時間があれば読み返しています!!とても魅力的な作品を読ませていただきました!! (2022年3月23日 22時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 梨桜さん» ありがとうございます!格好良さを全面に出したかったので良かったです〜!新作も宜しくお願いします! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 引きこもりちゃんさん» 更新の度コメントくださってありがとうございました!また機会があったら読み返してあげてください(〃'▽'〃) (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
梨桜 - 完結おめでとうございます!最後までクッソ格好よかったですね…新作も楽しみにしています!! (2022年1月22日 10時) (レス) @page50 id: 76e4dc31cc (このIDを非表示/違反報告)
引きこもりちゃん - 完結おめでとうございます!この話凄い好きです。お疲れ様でした。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page50 id: 81a3cc2368 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるなか | 作成日時:2021年11月26日 22時

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