第三十二話 ページ34
「A！！」
「う…ぐっ、…ちゅ、や…さ、ん」
中也は青褪めた顔でAに駆け寄った。己が纏うシャツの裾を引き裂き何とか止血をしようと試みるが、無情にもAの体から流れる鮮血は止まることを知らない。
『中也さん、奴は手元にある銃を異能力で隠していたから、気を付けて』
「糞ッ！俺としたことが…！」
硬い地面に拳を打ち付ける。中也は鬼の形相で宇能を見た。
「ふ、ふふ…こんな上玉を易々と逃すわけないでしょう」
「宇能、手前…ッ！」
中也は額に血管を浮かべ彼女の名を叫んだ。中也を中心に地面がべこりと凹み、周囲の壁は重力操作の波動で抉れる。
手袋を脱いだ中也はぼそりと呟く。
「ーーーーー汝、陰鬱なる汚濁の許容よ」
「待って中也さん！それだけは…！」
Aは無理に起き上がり中也を止めようとするが、体を起こした反動で口から血を吐く。中也は「黙ってろ」と低く告げ、続きの言葉を吐いた。
「更めて我を目覚ますことなかれ」
そして汚濁形態となった中也は宇能の身体が只の肉片になる迄殴り引き千切り裂いた。完全に制御を失った中也は己の器の限界も知らずに、重力波を溜めてはあちこちに振り撒き周囲を破壊する。
中也の身体は限界であった。口から血を吐き、白目を剥いている。
Aは這いずり中也に手を伸ばした。
「異能力、……首、かざ、り…」
異能力を発動させると、主である中也が受ける身体的ダメージをAが引き受ける。
途端に身体が重力に押し潰されそうになる感覚。骨が軋み今にも粉々にされそうな程重い衝撃。
「太宰さ、ん…たす、けて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椛 - 時間があれば読み返しています！！とても魅力的な作品を読ませていただきました！！ (2022年3月23日 22時) (
レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 梨桜さん» ありがとうございます！格好良さを全面に出したかったので良かったです〜！新作も宜しくお願いします！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 引きこもりちゃんさん» 更新の度コメントくださってありがとうございました！また機会があったら読み返してあげてください(〃'▽'〃) (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
梨桜 - 完結おめでとうございます！最後までクッソ格好よかったですね…新作も楽しみにしています！！ (2022年1月22日 10時) (レス) @page50 id: 76e4dc31cc (このIDを非表示/違反報告)
引きこもりちゃん - 完結おめでとうございます!この話凄い好きです。お疲れ様でした。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page50 id: 81a3cc2368 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるなか | 作成日時：2021年11月26日 22時
