第三話 ページ4
靡かせるとふわりと漂うシャンプーの香り。すべすべの肌に触れるシルク生地のガウン。
「さいっっこう〜〜〜〜！」
ぼふんっ！とクイーンサイズの寝具にダイブする。こんな幸せがあっていいのだろうか。仰向けになり天井を見上げる。
汚い話だが、商人に売られていた頃は風呂も満足に楽しめなかった。食も最低限のものである。人権が無かった。
だがしかし、今日という日は人生で最高の日かもしれない。
ポートマフィアなんて聞いた時には屈強な男が現れるのかと思いきや、私を買ったのは小柄な男性。清潔感もあるし、私の話を聞いて呉れる。家も、服も、食も与えてくれた。―――前の主人とは正反対の人間だ。
「あ、異能力の事も話さないと」
浮かれている場合ではない。
寝具から身を起こし与えられた部屋を出ると中也さんの居る部屋に向かう。ノックをして耳を澄ますが応答はない。そっとドアノブを捻りゆっくりと扉を開き隙間から部屋の中を除くと、中也さんは毛布も掛けず寝具に横になっていた。
「中也さん、寝てる」
物音を立てないようにそろり、そろりと中也さんに近付く。毛布を手に取り彼の身体に被せようとした瞬間、
「……ッ、！」
瞬きをすれば天井を仰いでいた。
一瞬の出来事だった。私の上に覆い被さる中也さんは驚いたように瞬きを繰り返す。
中也さんは身の危険を察知したのか、毛布を掛けようとしていた私の身体を一瞬にして組み敷いたのだ。
「悪ィ、Aだったのか」
「い、いえ、私こそ……驚かせてしまって、」
「何しに来た」
「中也さんに私の異能力の事を話そうと思って。」
「あァ、異能力」
「……あの、退いてくれませんか？私が起こしてしまったのは謝りますが…」
「ん？」
ん？
一秒の間。
中也さんは一向に退いてくれない。それ所か私を見下ろして楽しそうにしている。無性に腹が立ったので身動き捕われた腕を振り解こうとするものの敗北。小柄な男性であっても相手は成人、負けるに決まっている。
「中也さん、困ります…」
「可愛いな」
「ふえっ」
へへへへへ変な声出たんですけど……！！
動揺しまくる。こんな状況で可愛いって云う？聞き間違えだよね？
心做しか中也さんが顔を寄せて来てる気がする、どうしよう、
首、守らなきゃ―――
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椛 - 時間があれば読み返しています！！とても魅力的な作品を読ませていただきました！！ (2022年3月23日 22時) (
レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 梨桜さん» ありがとうございます！格好良さを全面に出したかったので良かったです〜！新作も宜しくお願いします！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 引きこもりちゃんさん» 更新の度コメントくださってありがとうございました！また機会があったら読み返してあげてください(〃'▽'〃) (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
梨桜 - 完結おめでとうございます！最後までクッソ格好よかったですね…新作も楽しみにしています！！ (2022年1月22日 10時) (レス) @page50 id: 76e4dc31cc (このIDを非表示/違反報告)
引きこもりちゃん - 完結おめでとうございます!この話凄い好きです。お疲れ様でした。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page50 id: 81a3cc2368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるなか | 作成日時：2021年11月26日 22時
