第二十七話 ページ29
「真逆こんな場所にAちゃんが居るなんて思わなかったわ♡あのデブの家に監 禁されて、其の儘死んで逝く人生はやめたの?」
「あの人はもう死 にましたよ」
Aが地面を蹴り宇能の頭を狙って踵を勢い良く落とす。宇能の反応は速く、軽々躱すと土埃の付いた服を叩いた。
「へえ、彼奴を殺 してマフィアに入ったのね」
「宇能さん、暴れ回っている異能力者が居ると聞きましたが貴方だったんですね」
「酷いわ、仕事が出来そうな男をちょっとだけ攫ってるだけじゃない」
宇能の周りに巻き付く靄が鋭い刃になる。
芥川に似た異能力。体術の練習に何度か芥川と闘った経験があるAは目の前に飛んで来た靄を易々と躱して宇能との距離を詰めた。
近接戦に弱い。
そう気付けばAの動きは速かった。腰に附けた拳銃を抜き、宇能の額に突き付ける。
「ふうん。遠距離戦に向いている異能力と瞬時に察知してアタシに近付く判断は良いわよ。でもね」
宇能の姿が黒い靄に包まれ消える。
背後に気配。Aは瞬時に反応し、距離を取ろうと身を翻したが異能力に叩き付けられ吹き飛ばされた。
「痛ッ……」
「惜しかったわねえ。実戦経験が無いのかしら、異能力は遣わないの?」
俯せになり痛む腹部を抑えるAを見下し、宇能は躊躇なく身体を雑に蹴り上げて仰向けにさせる。首筋を隠す髪を埃のように払うと、赤い印を見た宇能は鼻で笑った。
「ふっ、ふふふふ。アンタの異能力を奪おうと思っていたのに先着が居るみたいね。相手は誰なの?」
「教える必要なんてないでしょう」
「はー、生意気。ムカつく」
宇能は立ち上がりAの手から離れた拳銃を拾うと、弾が入っていることを確認すれば顔面の僅か数ミリ離れた場所に一発撃つ。
乾いた発砲音は空間に響き渡り緊張を残して去って行った。
「いい?次の質問に答えなかったら今度は顔面目掛けて撃つわよ」
Aは額に汗を滲ませる。
肋骨と先刻の攻撃で左脚を折った。もう一度宇能の攻撃を受けたら避ける事も出来ずに瀕死だ。
中也が来るまで出来る限り時間を稼ぐしかない。
異能力を遣って。
拳銃の先がAの口に捩じ込む。引き金が指先に当たり静かな音を立てた。
「もう一度聞くわ。アンタの主人は誰なの?」
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椛 - 時間があれば読み返しています!!とても魅力的な作品を読ませていただきました!! (2022年3月23日 22時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 梨桜さん» ありがとうございます!格好良さを全面に出したかったので良かったです〜!新作も宜しくお願いします! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 引きこもりちゃんさん» 更新の度コメントくださってありがとうございました!また機会があったら読み返してあげてください(〃'▽'〃) (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
梨桜 - 完結おめでとうございます!最後までクッソ格好よかったですね…新作も楽しみにしています!! (2022年1月22日 10時) (レス) @page50 id: 76e4dc31cc (このIDを非表示/違反報告)
引きこもりちゃん - 完結おめでとうございます!この話凄い好きです。お疲れ様でした。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page50 id: 81a3cc2368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるなか | 作成日時:2021年11月26日 22時