【文スト】素敵帽子の居候【男主】 (ページ14)

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「ほら中也さん、もう着きますから」

中也「…手前、子ども相手みてえに言うんじゃねえよ……」

「ちゃんと立っててください、鍵開けるんで」

外套のポケットに手を突っ込み、鍵を取り出す。

その間も中也さんはウトウトしていて、少しばかり危なっかしい。

「開きましたよ、どうぞ」

片腕でドアを開けつつ、中也さんを先に部屋に入れる。

…不意に、視線を感じる。

ちらりと隣の中也さんを見ると、しっかりと目が合って。

「…中也さん、？」

中也「A」

「……っ？！」

滅多に、…というか、殆ど名前なんて呼ばないくせに。

顔を完全に彼の方に向けた瞬間、唇が重なる。

…いつの間にやら俺の後頭部はがっちりと手でホールドされていて、動けない。

「っ、ちゅ、や、さん…！」

中也「黙ってろ」

壁に押し付けられ、接吻は角度を変えつつ深くなってゆく。

噛みつかれるような、そんな感じがする。

「ふっ、ん、…んん……」

…ちょっと待って、本当に一体何が起こってるのか分かんない。

「っ、はぁ、……ひ、ぁっ」

首筋に、生温かい感触。

その直後に痛みが走って、何だかもう思考が停止しそうになる。

こんなの、聞いてない。

「、待って、くださ…っ」

中也「…嫌か」

「っそんな言い方、狡くないですか…？」

そんな目で見られたら、心臓が止まりそうになる。

その瞬間、体がふわりと持ち上げられる。

つかつかと寝室まで連れてこられたかと思うと、少し乱暴にベッドに下ろされて。

「…っ、中也、さん」

俺を見下げる彼の目は、…まるで獣のようだった。

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