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人生何が起こるか分からない、とはよく言ったものだ。
まさに今、俺はそんな状況にある。
「お酒飲みます?」
中也「…ああ」
「…あ、帽子預かりますね」
にこりと笑って、其奴は俺から帽子を取る。
「座ってていいですよ、中也さん」
…此奴は、今俺と同居中の男だ。
そうは言っても、別に恋仲でも何でもない。
たまたま此奴に住む家が無かっただけ、それだけのことだ。
ダイニングテーブルの前に座っていると、徐に後ろからふわりと何かに包まれる。
中也「…何のつもりだ?」
「お疲れ様のハグですよ、分かりません?」
中「…ああそう」
「あれ、抵抗しないんですね」
するりと、綺麗な手が頬を撫でる。
…ハンドクリーム勝手に使いやがったな、此奴。
「ねえ中也さん」
中也「…何だ?」
「疲れてるんでしょ、ご飯食べたらお風呂入りましょう?」
中也「ガキじゃあるまいし、一人で入れるぞ」
「そーじゃなくて、背中流してあげるし、髪も洗ってあげますよ?
一時期美容師とかやってたんで」
そう言って、奴は俺の髪をサラリと撫でる。
…だから、いちいち妙に色気を出すなっての。
中也「…手前、そう言って毎回風呂に押し入ってくるじゃねえか」
「だって今日も、…血の匂いがするから」
中也「仕事だからな。分かったよ、入りゃいいんだろ」
「よし、じゃあご飯にしましょう」
ぱっと体が離れ、奴はキッチンに向かう。
…俺には、奴の考えていることがさっぱり分からない。
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桐宮 - 素晴らしい作品でした。もう涙腺が…。 (2017年3月5日 21時) (レス) id: a7d473c89c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2017年1月5日 13時