私たち結婚しました [JH]4

＊ ページ31

DINO side



どうしてだろう。

こう言う時、長男の感なのか何なのか、

気づいてしまう事がある。

誰かが傷ついてるとか、しんどいとか。

…泣きそうになってるとか。

「ヒョン。今時間ある？」

人気のない廊下の窓からぼーっと外を眺めてた後ろ姿に、

そう声をかけた。

「…ディノ？ん、いいよ」

おいで、と手招きされて、ヒョンの隣へ。

今は収録の休憩中。

誰がいるか分からないから大きな声じゃ話せない。

だから小さな声で、

見えない涙を流すヒョンに問いかけた。

「ヒョンは優しいね」

急な上に訳の分からない僕の言葉を、

理解したのかヒョンは困ったように笑った。

「優しくなんかない」

「優しいよ。ヒョンは、誰よりも優しい。

それで、自分に厳しい」

同じように困った顔で笑いながら伝えた僕の言葉に、

ヒョンは少し驚いて、

それから乾いた笑い声を上げた。

「ヒョンはそれで良いの？」

「良いの。俺は、可愛い弟のままで」

へへと下を向いたヒョンが今度は本当に泣いていて。

僕は何も言えずにヒョンを抱きしめた。

ヒョンが決めた事を僕が変えれるわけが無いから。

ヒョンの親友みたいに背中を押せない僕は、

精一杯その背中を抱きしめた。

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