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ついにマスターの居ない1週間が始まる。
マスターの気遣いでバイトの子達を増やして貰えているが、バイトの子達はいつもと違う雰囲気に浮き足立っており頼れそうにない。
さらにこの1週間と大学生のバイトの子達のテスト期間が被り、人手は足りておらず、頼みの綱であるパートの女性は子供の送迎があり、9時までお店はA1人なのである。
不安だ。
こんな朝早く来る人はほんど居ない。
偶然にここを訪れる人か、玄白さんを除いて。
お願い、この1週間、せめて少し慣れるまで、いや今日だけでもいいから、、、、来ないで、、、、
そう願いながら、掃除や仕込みを進めた。
マスターにお店を任されることを知った翌日から、自分なりの珈琲を追求し続けていたが、未だに完成しておらず、今日も朝から豆を挽く所から苦戦していた。
豆を挽く時間は長すぎると苦くなるんだよなぁ。
その時カランとドアが開く音がし、来客を告げる。
『っ!い、いらっしゃいませ!』
ついに来てしまった……。
Aの最初のお客様となったのは玄白さん。
彼はいつもと変わらず「珈琲」とだけ呟いて、いつもの席に着くのだった。
慌ててその後を追って事情を説明しに向うと、腰を落ち着けた彼は「なんだ」とでも言いたげにこちらを見つめる。
『あ、あの……今日から1週間ほどマスターが居ませんので、珈琲は私が淹れますがよろしいですか。』
Aは不安そうに「マスターほど美味しくないですが……」と付け加える。
当たりを見回した彼は、「ずっと1人なのか」と逆に質問をしAを混乱させた。
『いえ、9時からはパートの方が手伝ってくれます……』
それを聞いて納得したのか少しだけ頷いて、「構わない、頼む」と言ってくれたのでホッと息をつく。
取り敢えず不味くはない珈琲は作ることができた。大丈夫。これなら、200円くらいなら払ってくれるはず、、、、赤字だけど。
フッと息を吐き珈琲を彼の元へ運ぶ。
『お待たせいたしました。』
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みく(プロフ) - 星野将希さん» はじめまして。コメント及びご指摘ありがとうございます。気を付けてはいたのですが変換ミスしていました……。なるべく誤字がないよう努めてまいりますので、宜しければこれからもよろしくお願い致します。 (2018年2月23日 20時) (レス) id: d43cb19d57 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。突然ですが、水澄の「み」は「水」ではなく「三」だと思うのですが…。作者様のあえてなら失礼いたしました。更新頑張ってください。 (2018年2月23日 19時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みく | 作成日時:2018年2月21日 4時