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それから彼が来る日もあれば、来ない日もあって、毎日が過ぎていき、初めて彼と目が合った日からそろそろ半年が経とうとしていた。
そんなことも忘れ、彼の雰囲気にも慣れた頃。
彼はいつものように朝早くにやってきて、いつものように珈琲を頼んだ。
そしていつものようにマスターの淹れる美味しい珈琲を彼の元に運んで、彼もいつものように本に目を通しながら少しずつ飲む。
今日もいつものように過ぎていく―――
はずだった。
「…………」
彼はスースーと寝息をたてて気持ちよさそうに寝ているようなのだ。
読んでいた本は開いたまま、誰にも読んでもらえず天井を向いている。
彼が眠ってしまってからどれくらいが経っただろうか、残っている珈琲はすっかり冷たくなってしまっている。
まもなく彼がいつも店を出る時間、7時45分が迫っている。
Aがどうしようか迷っていると、時計の長い針がいつもより急いでるようで、あっという間に短い針を追い抜いて7時45分を指していた。
それからはというもの、彼の近くで少し粗めに掃除をしてみたり、音が立つようにドスンドスンと歩いてみたり、咳払いをしてみたり……
全然起きない。
まもなく8時になりそうな時、思い切って彼の肩をそっと叩いてみる。
起きない。
『すみません……起きて、起きてください……ぁ……』
前髪で隠れた瞼がうっすら開いて、Aを見つめた。
『あの、起こしてしまってすみませ――』
その瞳は全く恐怖を与えるようなものではなく、むしろ優しく温かなもので、表情も少し微笑んでるようだった。
「…ゆき……」
ゆき??
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みく(プロフ) - 星野将希さん» はじめまして。コメント及びご指摘ありがとうございます。気を付けてはいたのですが変換ミスしていました……。なるべく誤字がないよう努めてまいりますので、宜しければこれからもよろしくお願い致します。 (2018年2月23日 20時) (レス) id: d43cb19d57 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。突然ですが、水澄の「み」は「水」ではなく「三」だと思うのですが…。作者様のあえてなら失礼いたしました。更新頑張ってください。 (2018年2月23日 19時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みく | 作成日時:2018年2月21日 4時