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『お待たせしました。珈琲セットです。』
彼は本から顔を上げて、目の前の珈琲セットを怪訝な顔で見つめている。
「頼んだ覚えはない」
『あ、えっと、マスターからです。お代は珈琲のみで大丈夫ですので…』
「…………」
怪訝な顔をしたまま目線だけこちらに向け、少しだけ頷いた。
会釈なの？
了解の意なのだろうか。威圧感がすごい。
『………ご、ごゆっくりどうぞ。』
なんとか言葉を振り絞り、持ち場に戻ることができた。
「さ、君も食べるといい。お客は彼1人だから、ゆっくりお食べ。珈琲もどうだい。」
持ち場に戻るとマスターが3人分のトーストとサラダを用意していた。
これが私たちの“いつも”なのである。
ここは朝早くからオープンしているが、お客が来ないため従業員みんなでマスター手作りの朝ご飯を食べる。
それを目的に朝のバイトに入る大学生も居て、今日の子もその1人のようだった。
何故お客様も居ないのに、こんな朝早くからお店を開けるのかマスターに聞いたことがある。
マスターが言うには、「たまたま朝早くに起きて時間があるから珈琲を飲みたくなった時に美味しい珈琲を淹れてくれるカフェがまだオープていなかったら悲しいだろう。」らしい。
だがそんな人は中々現れない。
それにこのカフェは少し奥まった所にあるため、そもそも見つけるのも至難の業なのである。
「Aさ〜ん。早くしないとAさんの分も食べちゃいますよ。この後、朝練だからいっぱい食べなきゃなんです。」
『あ、ダメよ！私だってお腹すいているんだから！』
慌ててカウンターの席に着き、マスター特製のジャムをたっぷり塗ったトーストを頬張る。
このジャムは従業員の特権なのである。
それからお皿に零れたジャムまで残りのトーストですくい取り綺麗に食べ終え、食器を洗っていると、いつのまにか裏に行っていたバイトの女の子がバタバタと私服に着替えて出てきた。
『あれ？もう上がり？』
「はい、そろそろ朝練が始まるんです」
『おつかれさま』
気の毒そうな顔をして彼女を送り出す。
「おつかれさまでした〜」
マスターも手を振って彼女を見送り、銀スプーンを磨くのに集中した。
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みく(プロフ) - 星野将希さん» はじめまして。コメント及びご指摘ありがとうございます。気を付けてはいたのですが変換ミスしていました……。なるべく誤字がないよう努めてまいりますので、宜しければこれからもよろしくお願い致します。 (2018年2月23日 20時) (
レス) id: d43cb19d57 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。突然ですが、水澄の｢み｣は｢水｣ではなく｢三｣だと思うのですが…。作者様のあえてなら失礼いたしました。更新頑張ってください。 (2018年2月23日 19時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みく | 作成日時：2018年2月21日 4時
