STORY 18 ページ19
『えっ。やっぱり天堂先生に恋人がいたんですね」
さよこ 「同じ研修医で、最後は…患者だった」
『患者?』
さよこ 「でも8年前に拡張型心筋症で亡くなった」
『もしかして…杏里ちゃんと同じ』
さよこ「そうよ。」
『だから天堂先生は杏里ちゃんを治そうと必死なんですね』
さよこ先生からみのりさんのことを聞いた。
浬の大切な人の話を。
きっと浬の机にある写真に写ってる人だってすぐにわかった。
浬の中で忘れられない、大切な人の存在を私は知ってしまった。
歩いていると、空き部屋から浬と佐倉さんの声が聞こえた。
気になり様子を伺って見ると、浬が針刺しの練習台になってやっていた。
浬「黙るな、何か話せ!針先ばかり見てたら患者さんが不安になるだろ。
緊張するならいっそ声掛けしながらやれ。力抜いて。」
どこか浬の佐倉さんに対する態度が優しく感じた。
キツイ言葉をたくさん言っていたのに。
浬「今なら何でも答えてやる。」
佐倉「先生は、医者を…辞めたいと思った事はありますか?」
浬「ない!!必ず治す!!助ける!!そう誓ってきた。俺から出来るんだったらもう心配ないな。」
気づけば佐倉さんは無事針刺しを克服していた。
浬「明日から通常業務に戻れ。」
佐倉「はい!」
浬がこっちへ向かってきたから私は柱に隠れた
浬なんだかんだ佐倉さんのこと気にしてるんだ。
浬はいま佐倉さんに心を開こうとしていることがわかった。
私は気付けば涙が流れていた
浬の隣には行けない
そう思ったからだ。
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作者名:cana | 作成日時:2021年1月10日 17時