深紅タイは深紅エビを吊る

9 NearMs. ページ10

　
　
　
　
　
　
　
「お？小エビじゃん、おはよ」


『おはようジョンハン、眠そうだね？』


「んふふ、朝まで頑張っちゃった」


『マジ？アンタいつも頑張るね？』


「一昨日は外れだったからね、昨日はマジで大当たりだったわ〜、顔は伊勢海老だし体も伊勢海老だよ？あー、もっかい会えないかなぁ」


『珍しいね？一度抱いたら見向きもしない奴なのにさ』


「あんだけ上玉なら話は変わるだろ、腰が止まんなかったわ」





あのジョンハンがそこまで？何ともすごい女に出会ったんだな。一体どんな女なんだよ、ジョンハンを骨抜きにするなんて、




朝まで付き合わされたであろうその女性に少しの同情心を抱きながら幸せそうに頷いているジョンハンに私は問いかけた。




『ねぇ、どう？今日の私っ！』


「……どう？どうって何が？」


『男はハーフアップに弱いって言ってたからね！今日ハーフアップにしてみたんだよ！どう？似合う？』


「まぁ、似合うっちゃ似合うけど……ハーフアップに弱いってどこ情報な訳？」


『ジスだよ』


「は？ジス？」


『うん！ジスが、髪を緩く上げるよりハーフアップにした方が喜ぶよ、って言ってたから！』


「あぁー、ジス、…んぁー、なるほどな？」




そう言って薄く笑ったジョンハンは何とも意味ありげに笑っている。何？実はそんな事無い感じ？私はジスに騙されたってのか？




『……え、何？ハーフアップにしても男は喜ばないの？』


「ん？いや、そんな事無いんじゃない？少なくとも喜ぶ奴は一人いるよ」


『えっ、マジ？じゃあ私の行動は正解って訳？』


「んー、そうだね？ハーフアップが好きな奴はキュンキュンすんじゃない？」


『うっそ！ジスも中々良い助言をしてくれるもんだねぇ！ちゃんと私の事考えて助言してくれんじゃーん！』


「自分の事しか考えてないと思うけどね？」


『え？そう？でも喜ぶ人が一人いるって分かっただけでも私は気分が上がるよ！今日も仕事頑張れそう！』




気分が上がった私が目をキラキラにさせながらそうジョンハンへと話すとジョンハンは少し苦笑いした後に私の肩をポンポン、と軽く叩いた。




「お前ほんと単純だなぁ、……振り回されんなよ？」


『誰にだよっ！よし！私はジスにどう？って聞いてくるよ！ジョンハンありがとね！』


「おー。頑張れよー」





そう言って手を振ったジョンハンに背中を向けて私は部署へとルンルンで歩いて行った。
　
　
　
　
　

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