染のWhite Day 2🎁 ページ42
扉を大きく開いて入って、と私に言ったジフンさんの言う通りにして家の中へと上がり込むと少しだけ懐かしい香りがした。
『……久しぶりだなぁ、ジフンさん家の匂い』
「……ずっと会ってなかったもんな？いつぶりだっけ？」
『もう、覚えてません』
「ははっ、俺も忘れたわ」
そう言って笑ったジフンさんに私も一緒に笑うとジフンさんは私の顔を見て優しく微笑んだ後何かを思い出したように私に声をかけた
「あ、ごめん。何も用意してないな……何か飲む？」
『あ、いえ………今日は隙間時間に来ているんです。あと15分位したら車に戻らないといけなくて、』
「あぁ、……そか、やっぱ忙しいな、」
『………すみません、』
「……ううん、」
少し悲しそうに首を横に振ったジフンさんに少しだけ胸が痛んだ。彼と一緒にゆっくり過ごせる時間はいつ来るんだろう？
まず、私が落ち着いて来たとしてもプロデューサーである彼との時間が取れるかなんて分からない。
結ばれた瞬間から時間の合わなくなった私達は互いに数回ほどしかゆっくりした時間を過ごせていない。………タイミング悪いよなぁ、
それでもマメに連絡を返してくれたりビデオ通話をしている私達はまだ心の奥底で繋がっている、と実感する事は出来ている。
…………触れ合えないのは悲しいけどね？
『あの、ジフンさん……用事って、』
「あぁ、そうそう」
また何かを思い出したような顔をしたジフンさんは部屋の隅っこへと足を進めていった。その先に置かれているのは大きなギターケース。
その大きなギターケースを片手で持ち上げると私の元へと歩み寄り目の前にドンッと置いたジフンさんに少しだけ目を丸くしてしまった。
『……ギター？ジフンさん、ギター弾くんですか？』
「いいや？俺じゃないよ」
『え？』
ジフンさんは私を見つめ目を細めて笑うとそのギターケースを私へと渡してきた。
「お前のだよ、A」
『………え』
「特注だよ。お前の為に作って貰ったんだ」
『え、……えぇ！？』
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年3月14日 6時
