診療所のWhite Day 3🎁 ページ39
「……チョ、チョコレート?お、俺が?」
『はいっ!一緒に作って一緒に食べましょうよ!そしたらバレンタインとホワイトデーを一緒に出来ますよ?略してバレンワイトデー!』
「……バ、バレンワイトデー?」
『はい!私達はお休みがあまり無いんですからバレンタインもホワイトデーも、もう一緒にしちゃいましょう?
それで、毎年お互い一緒にチョコレートデザートを作って食べましょうよ!そしたら両方のイベント日を堪能出来ますよ!』
「……でも、Aはそれでいいの?」
『え?どうしてですか?』
「ほら、何か欲しい物とかあるんじゃないの?せっかくのホワイトデーなんだから形で残る物とかさ、」
先生は気を遣うように私へとそう伝えてくれたけれど、私にはそんな物なんていらない。先生と一緒に患者さんと向き合う毎日が私からすれば特別な物になるんだから。
『先生は分かってないなぁ〜!』
「えぇ?」
『私が求めてるのは先生との共同作業!私は先生を想いながら作って、先生は私を想いながら作る。私が欲しいのはそういう物なんです!』
「……ははっ、そっか」
私の言った事に優しく笑った先生の顔はとても穏やかで人を和ませる雰囲気を醸し出している。
そんな先生の雰囲気は私も患者さんも、みーんな大好きなんだよ。
『来月、楽しみですね?何を作ります?』
「んー、料理なんて出来ないからね、簡単なのが良いんだけど……」
『それなら、手始めに生チョコをしましょうか?チョコレートを溶かして生クリームを入れて固めてココアの粉を塗すだけですよ?』
「本当?……それなら、さすがに俺でも出来るかも」
『じゃあ、来月は生チョコを一緒に作りましょうね?約束ですよっ!』
「うん、分かった」
そう言って約束を交わし、3月14日を迎えた今日。二人で美味しく生チョコを食べるはずだったがそれは叶いそうにも無いなぁ
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作者名:ノルン | 作成日時:2024年3月14日 6時