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診療所のWhite Day 1🎁 ページ37

 
 
 
 
 
 
 
 
 
「……あ、水入っちゃった」


『えぇ!?何してるんですかっ!?』


「え、そんなに怒る?大丈夫なんじゃないの?」


『大丈夫じゃないですよ!もうそれは使えませんよ!』


「え?何で?」


『固まらないですよっ!』


「えっ!嘘!?」





嘘!?なんて言って驚いた先生は少し慌てながら中に入ってしまった水を一生懸命取り出そうとなんてしている。まぁ水を取る事なんて、もちろん叶わない訳で…………




『……諦めましょう?先生。もう無理ですよ』


「……あぁ、せっかくのホワイトデーが台無しだ」


『仕方ないですよっ!ほらっ、コレもコレで記憶に残るホワイトデーになったじゃないですか!』


「……悲しいホワイトデーだなぁ」







そう言って少し悲しそうに笑った先生と一緒に作ろうとしていたのはバレンタインデーでは作れなかった生チョコ。




一ヶ月前のバレンタインデーは残念ながら休診日などでは無くていつものような忙しい日を送りチョコレートを用意する暇なんて無くて普通の一日として終えてしまった。






恋人同士になってから迎えた初めてのバレンタインデーにチョコを送る事が出来なくて落ち込んでいた私に先生は肩に手を置いてこんな事を言ってくれた。

















 
 
 
 
 
 
 
 
「……チョコ、そんなに作りたかったの?」


『……はい、初めてのバレンタインでしたし、先生に送りたかったです。……でも仕方ないですよね?患者さんの健康が第一ですし』


「……うーん、」





そう言って笑った私を見て先生は少し悩んでしまった。





自分の言った事に嘘なんて一つも無かった。先生のおかげで笑顔になって帰っていく人達、ありがとうと伝えてくれる人達、ここの診療所しか信用出来ないなんて声をかけてくれる人達。





そんな人達に真摯に向き合って少しでも良くなって貰おう、と動き続ける先生の姿はずっと私が見たかった姿だしね。





少し悩んでいた先生は立ち上がり家に置いてあるカレンダーへと歩いていきペラッと捲ると、おっ、なんて声を上げてこちらへと振り向いた





『どうしました?』


「3月14日は木曜日だよ」


『え、そうなんですか?』
 
 
 
 
 
 

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作者名:ノルン | 作成日時:2024年3月14日 6時

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