シーク君のWhite Day 1🎁 ページ34
「Aちゃん、お昼行こうか」
『うん、準備するね？』
そう言いながらバッグの中から掴んだのはお弁当では無くて財布。
昨日、ハンソル君から明日はお弁当作ってこなくて大丈夫だよ、俺がご馳走したいから。そう言われた瞬間なんとなく察して分かった、と返した。
気にしないで、って伝えたんだけどなぁなんて思いつつも私の言った事で気を遣わせてしまったかな？と財布を取り出しながら思っていると私の手に重なったのはハンソル君の手だった。
『ん？』
「財布はいらないよ？」
『あぁ、ほら……一応緊急用だよ』
「いらないってば」
『……そ？分かった』
そう言って私がバッグの中に財布を戻したのを確認すると頷いて歩き出したハンソル君の背中を追いかけて行く。………が、
ハンソル君の進む方向は何故か外では無くいつも私達がお弁当を食べている休憩スペースへと向かって行っている。
少し疑問になりながらも彼の背中に着いていき休憩スペースへと足を踏み入れると今度は私に座る事を促したハンソル君は私の為に椅子を引いてくれた
「こちらにどうぞ？」
『ははっ、ありがとうございます』
少し照れながら頭を下げて椅子に座ると私の隣へ座ったハンソル君は持っていた鞄の中から驚くべき物を取り出した
『えっ、そ、それ………』
「えへへ、今日は俺がお弁当作ってきちゃった」
『だから、いらないって言ったの？』
「うん、いつも作ってくれてるお礼と、バレンタインのお返しも兼ねて」
『………お返しはいらない、って言ったのに』
「そう言うと思ってお弁当にしたの。返される事を本当に望んで無さそうだったし外食にしても気を遣いそうだったからね。」
『……………』
「でも、お弁当ならそんなに気を遣わないでしょ？だからお弁当作ってみたんだ。……って言ってもAちゃんのお弁当みたいに手作りばかりじゃないよ？ほとんど冷凍食品になっちゃったし」
少し恥ずかしそうに笑ったハンソル君はお弁当を取り出すと私へと手渡してくれた
『ありがとう、』
「ううん、こちらこそいつもありがとう。お弁当って大変だね？毎日こんな物を作って貰ってたのか、と思うと頭が上がらないよ」
『慣れちゃえば大変じゃ無いよ』
私がそう伝えると顔を引き攣らせて首を横に振り続けたハンソル君が面白くて少し笑ってしまった。
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年3月14日 6時
