現代エロースのWhite Day 3🎁 ページ29
あぁ、嫌な事を思い出してしまった。
家の中へと足を踏み入れてバッグを床へボトン、と落とすとそのまま床へと座り込んでしまった。
………いつまでこんな険悪な雰囲気が続くんだろうか？私が謝れば済む話だ。分かっているのに私を冷たく見続けるジュンにイライラして謝罪の言葉なんて出てこない。
もう私達終わりかもね。
痛む心に耐えきれなくて机に突っ伏した瞬間だった。
ピンポーン
『………誰だよ、こんな時間に』
何とも常識外れな時間帯に鳴ったチャイムに少しイラつきながら玄関へと向かい覗き穴なんて見ずに玄関の扉を開けると目の前にいたのは少し不機嫌な顔をして未だに険悪な雰囲気を醸し出す私だけの王子様
『………何で、』
「………中に入れて」
『………どうして？』
「………はぁ、」
少しうんざりしたような顔をして私の肩を押すと玄関へと足を踏み入れたジュンはそのまま靴を脱いでそのまま廊下を進みリビングへと歩いていってしまった
『………………』
辞めてよ、家まで来ないでよ。何で来たの？わざわざこんな所まで来なくて良いじゃん。………何の用で来た訳？
震えた息を吐き出してからリビングへと進んで扉を開けるとジュンのポスターに囲まれたままの部屋の中で胡座をかいて座っているジュン。
『………………』
「………………」
お互い言葉を発さないまま沈黙が流れ続ける部屋の中でジュンから少し離れた場所へ座ると私へと目を向けたジュンに思わず視線を逸らしてしまった。
目を逸らした私に軽く溜め息をついたジュンは鞄を漁り何かを取り出すとテーブルの上へと勢い良く何かを叩きつけた。
『…………な、何これ』
「………ホワイトデー」
『は、……はぁ？』
「貰った物は返す主義なんで、」
え、今？このタイミングで？渡すタイミングじゃなくない？
テーブルの上に叩きつけられた何かの箱と頬杖を突きながら私と目を合わせないジュンに何とも言えない気持ちが込み上げる。
『………あり、がとう』
「………うん」
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作者名：ノルン
| 作成日時：2024年3月14日 6時
