現代エロースのWhite Day 2🎁 ページ28
"お疲れ様でした。"
全員分の写真を選んだ後、そう言って現場から出ようとした瞬間に突き刺さる周りからの視線。
そんな視線に気付きながらもバッグを乱暴に掴んで撮影現場から出た瞬間に握りしめた手は少しだけ痛かった。
ジュンと大喧嘩をした。キッカケは私のつまらない嫉妬。
"次の撮影に女性がいるなんて聞いてないっ!しかも、どうしてそれを私が撮らなきゃいけないのっ!?"
"仕方ないでしょ?これも仕事なんだって、"
"服をはだけさせながら!?相手と至近距離で見つめ合う事が!?それ何の需要がある訳?"
"……そんなの俺に聞かないでよ。俺だってそう言われただけなんだから"
"どうして断らなかったの!?また熱愛だって騒がれたらどうするつもり!?"
"仕事だって言ってんじゃんっ!!熱愛なんて騒がれる訳無いだろ!?何でもかんでも熱愛に結びつけないでよっ!"
『………………』
そんな言い合いがあったのは4日ほど前だ。あの日から私達はまともに会話なんて交わしていない。
"仕事"
その言葉をあの日ほど憎んだ事は無かったかもしれない。
それでも私はカメラマンとして良い写真を撮らなければいけない。そう思った私は自分を押し殺して次々と過激な注文をジュン達に頼んでいった。
腰に手を回して、もっと近くで見つめ合って、頬に手を添えて、彼の首に腕を回して、彼女の首筋に手を添えて、
重苦しく鳴り響くシャッター音に心は悲鳴を上げていた。それでも仕事だから。ジュンも仕事だから仕方ない、そう言っていたから。
だから私は良い写真を残そうとした。それなのに、
撮影が終わって相手の女性が帰り見たくもない写真を選んでいた私に近付いてきたジュンは私に言った。
「そんなに密着させたかった?」
『………は?』
「何なの?断らなかった俺への嫌がらせ?」
『は?何言ってんの?私は良い写真を撮ろうとして、』
「あんなのどう考えても嫌がらせだろ」
『………………』
「何考えてんのか分かんないけどさ」
「私情を持ち込まないでくれない?」
そう言ってジュンは私の肩を押すとその場から去っていってしまった。
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作者名:ノルン | 作成日時:2024年3月14日 6時